1.教育課程編成の考え方
情報学がメタサイエンスであるという観点から、特に幅広い応用・利活用分野に対応するため、広範囲に渡る情報学のうち核となる知識・技能の獲得ができるよう、学科科目を基礎科目、基幹科目、発展科目、キャリア形成・技能養成科目、PBL型科目、研究実践科目に区分し、体系的に教育課程を編成する。
(1)汎用的技能の修得
学部の初年次教育として情報学への興味関心を促す科目を開設し、自律的学修態度を涵養する。
更に実験科目やプロジェクト実践科目を適切な学年に配置し、コミュニケーション力や多様な人々との協働力を身に付けられるようにする。
(2)社会や諸分野への応用・利活用を目指した学び
社会的価値の創造を念頭に置いた情報通信技術の応用・利活用を知るために、幅広い分野に興味関心を持つよう意図した科目を1年生から開設し、又、先端的な技術を知るための専門科目を2年生以降に配置する。
(3)プログラミング能力を基盤とした問題解決
問題解決のための基盤としてのプログラミング能力の育成を目指し、1年生からプログラミングの基礎・演習科目を配置し、2年生以降の実験科目やプロジェクト実践科目において身に付けたプログラミング能力を活用する実習を実施する。
又、将来の活用先を見据え、適切なプログラミング言語・手法を選択して修得できるように科目やクラスを設置する。
(4)数理科学・統計学に裏打ちされた情報学の体系的知識の獲得
情報学は数学及び統計学と特に深く関連していることから、これらの基礎を修得できるように、体系的に数学・統計学関連科目を設置する。
(5)「情報の扱い」に対する能力の育成
飛躍的に増加するデータを情報として適切に活用し社会に価値を創造できるようにするため、データの収集、加工、蓄積、分析、変換、活用、表現、伝達といった技術を修得し、いわゆる「情報の扱い」の基礎から応用までを学べるよう専門科目を体系的に整備する。
(6)情報の原理を理解し、情報を扱う機械や機構を設計・実現する技術の修得
情報学の基礎として情報の原理を理解した上で、コンピュータを始めとした情報を扱う機械・機器やシステムの設計ができ、それらを実現・構築する技術を修得できるよう、体系性・順序性を考えて必要な科目を配置する。
(7)高度化された情報通信社会における先導者としての素養の獲得
高度化された情報通信社会において先導者としての役割が果たせるようになるために、AIやIoT、センシングといった理工学分野を中心とした技術の修得ができるよう、さらに倫理観を持った上で、社会や経済活動、人間活動を取り巻く環境についての理解が深められるよう、学科科目を設置する。
2.教育方法の考え方
(1)主体的な学び
主体的・能動的な学びを自立して行えるよう、アクティブラーニングの手法を専門科目でも取り入れる。
(2)プログラミングによる問題解決
全ての学生にプログラミングの技能を身に付けさせるために、修得レベルに応じた学修ができるよう能力別クラスを設定する。問題解決を実践的に学べるよう、プロジェクト学習を取り入れる。
(3)実験・演習による体験的な学び
実験科目や演習科目における実体験を通じ、知識や技能の理解・定着を深めさせる。更に、実験や演習で実施する問題解決の過程や結果を説明する機会や場を設けることにより、理解度を確認するとともに、その深化を促進させる。
(4)協働的な学習や体験
コミュニケーション力をはじめとする情報通信技術の関わる業界において必要とされる汎用的能力の基礎を身に付けるため、適宜グループワークを実施する。グループワークでの活動を通じ、多様な特性を持つ人々との協働や、その中での様々な役割を経験させる。
(5)履修モデルの提示と指導
人材に対する産業界のニーズに応え、又学生の目指す自己実現の在り方にも配慮し、4年間に渡って効果的な履修ができるよう履修モデルを提示する。その上で、学生個々の特性を評価し、適切な履修モデルの選択ができるよう個別指導を行う。又、関連する全学共通科目の履修を促す。
3.評価方法の考え方
(1)到達目標の明示
全ての科目で、学修体系や履修モデルにおける位置付けを意識した到達目標を明示し、自己評価も客観的にできるよう到達度の基準を示す。
(2)主体的な学びの成果を評価するためのルーブリック等の活用
主体的な学びの成果を公平に評価できるよう、特に定性的な評価が要求される課題・科目については、ルーブリック等を積極的に活用する。
(3)レポートによる評価
問題を発見した上でモデル化し、適切なアルゴリズムや解法を選択できているかを確認するため、実験科目やプロジェクト実践科目においてレポートによる評価を実施する。
(4)卒業研究の評価
卒業研究の実施及び卒業論文の作成を通じて、(a)体系的な知識・技能の習得ができたこと、及び(b)その知識・技能を生かして問題発見・解決ができること、を評価・確認する。又、4年間の学修の成果を総合的に計測するため、複数教員による客観的総括評価をルーブリック等を活用して行う。