教育学科 教科専門（美術）コース　特長

　教科専門コース 美術コースでは、つくる楽しさと鑑賞する楽しさの両方を伝えられる小学校教師、中学校・高等学校の美術教師を育成。図工・美術演習室などのじっくり技量を磨ける環境で、一人一人の個性を伸ばすため個別指導を大切にした授業を行っています。その中で、子どもたちの前で制作過程を実際に披露できる実践力を養います。

美術コースを動画で紹介します。

　美術コースの良いところは大きく２つあります。1つ目は先生と学生の距離が近いところです。少人数のクラスなので、学生１人1人に対して手厚く指導して頂けます。卒業後、図工の授業のことで悩んだ時も相談に乗って頂いたことが何度もありました。２つ目は、幅広い美術分野の学びを得られることです。私は、美術コースで、素描や油彩、塑造や木彫、陶芸や木工芸、パソコンを使ったデザインや映像編集、教育法や美術理論・美術史などを学びました。またそれぞれの活動での試行錯誤によって成長できたと感じています。実際に教育現場に出て、すぐに教壇に立ちました。図工専科の 教員は基本1校に1人なので授業の内容について教えてくれる人もいません。そんな時に、美術コースで学んだ、基本的な道具の使い方や、様々な題材のアイデア、授業の流れの組み立て方などの実践的な経験が、不安で自信のない新米教師としての私を確かな力で支えてくれました。(写真は図工の授業で作った段ボールの帽子)

　埼玉県の中学校で美術教員をしております。高校までの美術の授業は好きでしたが、特別に専門的な指導を受けた経験はなく、明星大学美術コースに入学し、美術の基礎を一から丁寧にご指導をいただきました。このコースは学生数が少なく、ひとりひとりへの指導が手厚く、先生方の経験などを聞く中で、自身と向き合い、4年間じっくりと美術の学びを深めることができました。また、教員になるための知識や技能を様々な専門性を持った学生と一緒に、切磋琢磨しながら学ぶことができたことは、教育学部ならではの利点だと思います。現在は、日々の授業実践に右往左往しながらも、大学での経験を活かし、多くの子ども達が美術に関心を抱くような指導を目指して頑張っています！

　はじめは、中・高の美術教師を目指していました。しかし、大学で小学生向けのワークショップに参加したり、小学生向けの授業作りをしたりする中で、子どもの表現の幅広さや豊かさを実感し、小学校の図工専科になりたいという気持ちが大きくなりました。卒業後、更に深く美術教育を学ぶべく、上越教育大学大学院に推薦していただき、進学し研究を深めました。現在の勤務先では、大学で学んだ子どもの興味を引く題材設定や個々に対応した指導法を日々実践しています。悩んだ時には、大学の先輩や恩師にアドバイスを受けながら、子どもの表現活動の手助けをすることに幸せを感じています。

　個人事業体「視覚実験教室」を設立し、教育現場をメインに絵・演劇・仮面を使ったワークショップを通して、見えない気持ちや考え、身体感覚を視覚化する仕事をしています。 またオンライン不登校支援プログラムのスタッフとして、子どもたち一人ひとりに合った学びのカタチを見つける伴走業務を行なっています。大学で学んだことを目一杯活かし、子どもと大人が共に個性を活かし、より良い学びの場を作ることを心がけています。私が明星大学の美術コースで学んでいた際は、少人数での講義だったため、先生方から手厚いサポートを受けることができました。先生と学生が一人の人間同士として向き合い、「美術教育」とは何か、そのために教師ができることは何かを真剣に語り合い、生まれた仮説を試すことができる環境でした。現在の仕事の中で、その経験が活きています。

少人数クラスでの丁寧な指導。
図画工作・美術の実践指導力を身につけます。

主な履修科目

• 美術科教育法1・２・３・４
  
• 絵画1・２
  
• 素描1・２・３
  
• 彫塑1・２
  
• 工芸基礎A・B
  
• 工芸A・B
  
• デザインA・B
  
• 映像メディア表現1・２・３・４
  
• 平面構成・立体構成
  
• 美術理論1・２
  
• 美術史概論
  
• 日本・東洋美術史
  

　美術コースの多くの学生は、小学校の免許状と中学校・高等学校の美術の免許状を取得しています。そのため、「教育学入門」から「教育実習」まで多くの教育関係の授業があります。小学校免許状のためには、すべての教科の「教育法」などの授業もあります。そして、美術の専門的な授業があります。例えば、「美術科教育法３」の課題「絵からやって来た人」は、絵画を鑑賞して、その中の人物を彫刻で表現するというものです。冒頭の作品を制作した学生は、ノーマン・ロックウェルの絵画に登場する少年を立体化しました。学生たちには「どんな小さな課題も、追求しだいで、学びは無限だ」と伝えています。

教職美術入門（鑑賞）／1年生

図画工作科指導法研究（模擬授業）

美術科教育法3

美術科教育法2

素描1

構成基礎

工芸基礎A

工芸B

彫塑1

教育実践ゼミ1

教育実践ゼミ3

卒業研究

教育実践ゼミ1、2（野沢ゼミ）

　子どもは、1歳を過ぎるころになると、誰に指示されるともなく絵を描き始めます。グチャグチャの「なぐり描き」、そこには「今、私は生きてここにいるよ」という喜びが溢れているように見えます。また、太古の洞窟壁画 以来、デジタル時代の今日でも、人間が絵を描くことを止めないのは、その作業が「生きること」と切実に関わっているからだと思います。このゼミでは、絵画制作の喜びを味わいながら技術を磨き、自分のあり方を探り、卒業制作につなげます。また、制作を通して、図画工作科・美術科教育について考え、卒業論文につなげるのも良いです。

ゼミの活動内容

　3年次のゼミの授業内容は、作家・作品研究および発表、絵画（素描、水彩、油彩など）の制作です。研究と制作を並行して行いながら自分のテーマを見つけ、4年生では卒業制作（または論文）に取り組みます。写真は、4年生が大作に取り組んでいる様子です。ドーナツを描いている学生の研究テーマは「絵画のモチーフが伝えるもの—ルネサンスからポップアートまで—」、森と石段を描いている学生の研究テーマは「絵画における時間の表現—私的な物語を題材に—」です。

教育実践ゼミ1、2（槙野ゼミ）

　このゼミでは美術教育で扱う表現領域の中から主に立体的表現（彫刻・工芸）とデザイン分野および映像メディア表現に関する内容を研究します。材料の特性を造形表現にいかすことや、伝えたいことをデザインや映像を用いて表現する方法について検討を重ね考察を深めることを主眼とします。またこれらの活動を通して「手で考える」ことの意味を理解し、その成果を卒業制作（彫刻・工芸・デザイン・映像メディア表現）または卒業論文（図画工作・美術の教材研究など）としてまとめます。

ゼミの活動内容

　3年次のゼミでは、彫塑や工芸、デザイン、映像メディア表現などの表現方法の多様さやそれぞれの魅力について作家研究や作品研究を通して知識を広げます。また自分にとって興味・関心のある技法や材料を使った作品の制作も行い、卒業研究に向けて自分のテーマを探ります。4年生では卒業制作（または論文）に取り組みます。