「MEISEI HUB企画イベント(第3期)」として、明星大学国際コミュニケーション学科・菊地滋夫ゼミ主催の「Africafe 2025」を開催します。
テーマは「地域における多文化共生」。
本イベントでは、「多文化共生をめぐるトークショー」と「ガーナの音楽とダンス」を中心に、多文化が響き合う交流の場をつくります。音楽とリズムに触れながら、会場一体となって楽しみましょう。
また、アフリカ料理やアクセサリー販売も予定しており、アフリカに根付く思想 「Ubuntu(ウブントゥ)」を五感で体感できる時間をお届けします。
この「MEISEI HUB企画イベント」は、育星会からのご支援(※)により実施されているもので、学内公募により選定された企画のひとつです。第3期では6件の企画が採択されており、本イベントはその中で最初に開催されるものです。
イベント概要
- 日時:2025年12月19日(金)17:00~19:00
- 場所:明星大学日野校28号館2階図書館 MEISEIHUBイベントスペース
- 参加費:無料(予約不要)
トークゲスト
- 矢野デイビット 氏(ミュージシャン/一般社団法人Enije代表/明星大学客員講師)
- 菊池哲佳 准教授(明星大学国際コミュニケーション学科)
助け合い、支え合い、そして「ともに輝いて生きる」
Africafe(アフリカフェ) は、アフリカに息づく価値観や文化の魅力を伝える、学生企画イベントです。2010年の初開催以来、アフリカ料理や飲み物、アフリカンアクセサリーの販売に加え、トークセッション、音楽、ダンスなど、多彩なプログラムを通してアフリカを体感できるイベントとして継続してきました。
本イベントのテーマとなるアフリカの思想 「Ubuntu(ウブントゥ)」 は、
「あなたがいるから、わたしがいる」
という相互性を大切にする考え方です。人々が互いに助け合い、支え合うことで社会が成り立つ——その精神がUbuntuです。
日本社会は今、少子高齢化や外国籍住民の増加など、価値観や背景が多様化しています。だからこそ、異なる文化を理解し、尊重しながら「ともに生きる社会」を考えることが求められています。
Africafe は、Ubuntuの精神に触れることで、参加者一人ひとりが「多様な人々と共生する未来」について考えるきっかけとなる場を目指しています。
トークゲストと「共生」について考える
矢野デイビット氏は、ガーナ人の母と日本人の父のもとに生まれ、6歳から日本の児童養護施設で育ちました。幼い頃から「自分は日本人なのか、ガーナ人なのか」という問いと向き合い続けてきた矢野氏にとって、アイデンティティの揺らぎや孤独は常にそばにある経験でした。
その経験が、「同じように生きづらさを抱える子どもたちを支えたい」という思いへと変わり、ガーナの子どもたちへの教育支援や自立支援を行う団体 Enije を立ち上げる原動力になりました。
「これからもっとガーナと日本を行き来しながら、自分が何に幸せを感じ、仲間や家族とどう生きていきたいのか確かめたい。」と語る矢野氏の言葉には、Ubuntuの精神が“理念”ではなく“生き方”として息づいています。
一方、菊池哲佳准教授は、多文化社会における地域防災政策を研究テーマとし、外国にルーツを持つ人々を含めた誰も取り残さない災害支援体制の実現をめざしています。災害時の行動分析や聞き取り調査を通じ、言語・文化・生活習慣の違いが防災行動にどのような影響を与えるのかを明らかにしながら、行政・地域・教育機関が連携できる体制づくりを進めています。
また、研究にとどまらず、ワークショップや地域イベントなどの実践にも取り組み、平時から人と人がつながる環境づくりを重視しています。その背景には、防災は「災害時の対応」ではなく、「共生社会の基盤を育てる営み」であるという視点があります。
一見すると、矢野氏と菊池准教授は、まったく異なる領域に立っているように見えます。しかし、その背景には共通して、文化や言語、国籍といった境界を越え、「人は支え合うことで存在できる」というシンプルで力強い視点があります。
それはUbuntuが説く、「あなたがいるから、わたしがいる。」という思想にも深く響き合う感覚です。
今回ふたりが交わす言葉と、学生たちとの対話のなかから、まだ私たちが気づいていないつながりや共通点、そして“共生”の新しい意味が生まれるかもしれません。
どんな問いが生まれ、どんな視点が交差するのか—その瞬間を、ぜひ一緒に見届けましょう。
ガーナの音楽とダンスで「つながる」を体感する
アフリカの文化において、音楽やダンスは生活に深く根付いた存在です。
そこには「上手い・下手」といった基準はなく、感じたままに身体を動かすことそのものが表現になります。
ダンスは自己の感情をストレートに表す手段であると同時に、他者と関係性を築くための大切なコミュニケーションでもあります。
2025年6月に開催された関連イベント「Rainbow Africafe 2025」でも、その魅力が体感できました。
会場全体が音楽とダンスに包まれ、参加者だけでなく、別の学部の学生や偶然足を止めた教職員までもがリズムに引き寄せられるように踊り始めました。
気づけば自然と笑顔や会話が生まれ、初対面のはずの人同士が近くなっていく。そんな非日常の空気が、会場全体に広がっていました。
今回のイベントでも、知識や技術は必要ありません。頭で考えるより、音楽に身を委ねてみてください。
同じリズムを感じ、同じ空間を共有することで、自然と人とのつながりが生まれてくると思います。
日常ではなかなか味わえない、“つながる体験”を、ぜひ一緒に楽しみましょう。
人文学部国際コミュニケーション学科 菊地滋夫ゼミ
アフリカの人々の暮らしや価値観を手がかりに、「人間が幸せに生きる条件とは何か」を探求している。2025年度前期は、ムンギ・エンゴマニ著『ウブントゥ』を読み解きながら、アフリカ社会に息づく共生の哲学について議論を重ねた。テキストを通じて、ウブントゥの精神が思想として存在するだけではなく、人と人が支え合いながら生きる日常の姿勢として体現されていることを学んだ。
後期では、学びをアウトプットする場として「Africafe」を運営している。ここでは、ゼミ生自身がテーマ設定や企画運営を行い、社会に向けて発信する経験を積む。学びを教室内にとどめず、対話や交流を通じて広げていくことを大切にしているゼミである。
※育星会による支援について
明星大学育星会は、在籍する学生の保護者と本学との連携を保ち、相互の理解を深め、学生の教育支援、及び本学の教育事業の振興に寄与し、併せて会員相互の親睦を図ることを目的とした保護者の団体です。2025年度のMEISEI HUB企画イベントは、育星会より「学生生活活性化支援補助費」をいただき運営しております。