事務局では文部省への設立認可申請書等の書類作成と並行して、カリキュラム、教科書執筆者、執筆要領等を決定し、22名の教授者に対して執筆依頼、テキストの作成などの具体的作業に入った。その後約3ヵ月の短期間で、教科書29科目、学習指導書24科目が完成。9月29日には、文部大臣宛「明星大学通信教育部設置認可書 」を提出する運びとなった。
同年11月10日、大学設置審議会委員による実地視察が行われ、その結果、1967(昭和42)年3月25日、文部大臣より通信教育課程の設置認可がなされ、同年4月、明星大学人文学部心理・教育学科通信教育課程が創設された。
同時に、同課程は、初等教育、幼児教育に携わる人材の養成をめざして、小学校・幼稚園の免許状を取得させるための正規の課程を文部省に申請。同年3月27日付で課程認定を得た。翌年、初等教育における現職教育の重要性にかんがみ、教育職員免許法上の小学校・幼稚園関係科目を履修できる聴講生の課程を申請、1968(昭和43)年3月15日、文部大臣より認可された。
1969(昭和44)年、東京都教育委員会の集団入学受け入れを皮切りに、1970(昭和45)年神奈川県教育委員会、1971(昭和46)年千葉県教育委員会との委託事業が始まる。その後も各県の教育委員会や、各種の学校と委託事業を展開した。この委託事業は小学校普通免許状を所持していない現職の教員のために行われるものであり、以来、現在まで学習センターと名称を変えながらもさまざまな形で継続されている。
1977(昭和52)年、通信教育課程創設10周年記念祝賀会が京王プラザホテルにおいて開催された。また、通信教育課程の同窓会組織である「星友会」が10周年を機会に発足し、第1回総会を1978(昭和53)年8月9日に開催した。当日は全国から卒業生が集まり、学長を始め教授者と懇談。在学中の思い出話に花を咲かせた。
1984(昭和59)年、学校図書館司書教諭並びに社会教育主事コースを開設。翌年図書館司書コースが開設された。
- 教育学専修コースA
- 教育学専修コースB
- 小学校教員コース
- 幼稚園教員コース
- 社会教育主事コース
- 図書館司書コース
以上の6コースの中から、任意に選択できるようになった。
1991(平成3)年4月1日以降の通信教育課程の教育実習生に対して、実習生に「傷害保険」と「賠償責任保険」がかけられることになった。
1992(平成4)年の教育課程の変更は、大学設置基準の大綱化等により、大学がそれぞれの理念・目的に基づき自由かつ多様な形態で教育ができるようになったことによるものである。通信教育課程における変更点としては、従来の一般教育、専門教育科目という枠組みにとらわれずに、教育課程を組むこととし、一般教育科目、外国語科目、保健体育科目を基礎教育科目に統合し、専門科目と基礎教育科目の2つの配列としたことが挙げられる。この年「障害児教育」が開講され、3年次以上の学生が履修できるようになった。
1994(平成6)年度より通学課程の心理学専修で開講している「心理学実験Ⅰ」を科目等履修生として受講する道を開き、「認定心理士」の資格認定を受けることができるようにした。
通信教育課程の設置から30年以上が経過する間に、通信教育課程の卒業者の中からも毎年20名以上の者が通学課程の大学院を受験するようになって来た。その動機の主なものとしては、高度な実践的知識や技能を得るため、学位・専修免許状を取得するためなどが挙げられる。このような要望に応えるため、通信教育課程に大学院を設置する準備を進めていたところ、「大学院設置基準」が改正され、通信教育課程の大学院設置が可能になった。
これを受けて本学は、大学院人文学研究科教育学専攻に通信教育課程を併設することとし、設置申請の作業を進めた。既に見てきたように、顕著な実績を着実に積み上げてきた本学による申請は、設置審議会の委員からも高い評価を得て、1999(平成11)年に他の数校とともに、わが国で初めて設置を認可された。新たに設置された通信教育課程の大学院人文学研究科教育学専攻の修士課程は定員を30名と定めて募集を行うことになった。この募集に対しては当初より定員をはるかに超える応募があり、厳しい入試選抜となって現在に至っている。
この実績を踏まえ、本学は、2006(平成18)年4月より、同課程の教育学専攻に博士後期課程を設置することを申請し、設置審議会の委員による高い評価を得て、これを認可された。
2010(平成22)年、改組改編により、人文学部心理・教育学科から教育学部教育学科に名称変更を行うとともに、小学校教員養成課程に加えて中学校・高等学校・特別支援学校の教員養成課程の運営を開始した。
また、2014(平成26)年には、人文学研究科から教育学研究科への名称変更を行った。
2017(平成29)年、通信教育課程創設50周年記念祝賀会が、関係者多数出席のもと立川パレスホテルにおいて盛大に催された。
明星大学通信教育課程は、幼児教育、初等教育、中等教育にわたる幅広い免許種に対応する充実した教育内容により、毎年400名を超える人材を教員として社会に輩出しており、創立50年を経て、通信教育による教員養成の分野において確固たる地位を占めている。
2020(令和2)年から遠隔会議システムや、LMS(Learning management system)を活用し、授業の遠隔開催を本格的に導入。各種手続きのデジタル化も含め、仕事を持ちながら勉学に励む学生が、より便利で効率的に目的を達成できるしくみの整備を進めている。