「防災×やさしい日本語ワークショップ」の様子(2026年9月27日/菊池哲佳准教授提供)
2026年9月27日(日)、大栗川・かるがも館(東京都多摩市)で「防災×やさしい日本語ワークショップ」が開催され、人文学部国際コミュニケーション学科の菊池哲佳准教授と学生が参加しました。
本ワークショップは、明星大学、大栗川かるがも館運営協議会、多摩市の3者が連携して実施したものです。災害時に外国人住民にも分かりやすく情報を伝える「やさしい日本語」をテーマに、菊池准教授による講演や、学生がファシリテーターを務めるワークショップを通して、地域住民とともに災害時のコミュニケーションについて考えました。
なお、当日の様子は日本テレビのニュースでも取り上げられました。
関連リンク
「やさしい日本語」で防災訓練 外国人にも伝わる言葉で災害に備える(2026年9月27日掲載)|日テレNEWS NNN
多文化共生のまちづくりを目指して—実施の背景
多摩市では、2025年3月に「多摩市多文化共生推進基本方針」を策定し、多文化共生のまちづくりに力を入れています。
菊池准教授は、多文化共生論や地域防災を専門とし、外国人住民の社会参加という視点から地域防災について研究しています。また、2011年の東日本大震災では、当時所属していた仙台国際交流協会で外国人被災者の支援に携わるなど、研究と実践の両面から多文化共生と防災に取り組んできました。
多摩市との連携のきっかけとなったのは、2026年1月に多摩市が主催した多文化共生講演会です。菊池准教授が講師を務めたことをきっかけに、その後、多摩市から「やさしい日本語」の研修講師の依頼がありました。災害への備えの重要性も踏まえ、今回の「防災×やさしい日本語」をテーマとするワークショップの実施につながりました。ワークショップには、菊池ゼミの学生もゼミ活動の一環として参加しました。
さらに、2027年1月10日(日)に開催予定の多文化共生イベントについても、菊池ゼミが企画に携わる予定です。
学生がファシリテーターとして参加ー当日の様子
当日は2部構成で行われました。第1部では、菊池准教授が「やさしい日本語」をテーマに講演。東日本大震災で外国人被災者の支援に携わった経験にも触れながら、災害時の情報伝達や「やさしい日本語」の考え方について紹介しました。
会場には、さまざまな世代や、多様な仕事・活動に携わる地域住民が参加しました。菊池准教授の話にうなずきながら、熱心に耳を傾ける参加者の姿も見られました。
第2部では、菊池ゼミの学生がファシリテーターを担当し、地域住民とともにワークショップを行いました。災害時に外国人住民とコミュニケーションを取る場面を想定し、「やさしい日本語」の有効性や、災害時に安心を届けるコミュニケーションのあり方について考えました。
多文化共生や「やさしい日本語」に高い関心があることを実感ー人文学部国際コミュケーション学科3年 綾部 樹さん
今回、ファシリテーターとして参加した綾部さんは、普段からゼミで多文化共生について学び、自身も「やさしい日本語」をテーマに研究しています。今回のワークショップについて、綾部さんは次のように振り返ります。
「ゼミでは普段、多文化共生について学んでいます。私自身は『やさしい日本語』について研究しており、今回のワークショップでは、これまで学んできたことを生かしながら、さまざまな具体例を出すことができました。また、災害時などの緊迫した状況の中で、外国人に情報を伝えるために何が必要なのかについても、これまでの学びを踏まえて考えることができました。
今回参加してまず感じたのは、多文化共生や『やさしい日本語』への関心の高さです。ワークショップの定員がすぐに埋まっていたことからも、多くの方が関心を持っていることを実感しました。また、過去の災害時には『やさしい日本語』が十分に使われていなかったことを知り、『やさしい日本語』を使うことで救える命が増える可能性があることを改めて感じました」
地域の方々との交流で感じたこと
「ファシリテーターとして地域の方々と接する中では、さまざまな方の意見をまとめながら進行することに難しさも感じました。一方で、その土地に長年住んでいるからこそ得られる知識や経験があり、地域で実際に起きた過去の出来事について直接話を聞くことができたことは、自分にとって新たな学びになりました。また、お話を伺う中で、地域の方々が自分たちの住む土地を大切に思っていることも感じました。ゼミで学ぶだけでは得られない、地域の方々との交流から多くのことを学ぶことができました。
今回学んだ災害時における『やさしい日本語』の重要性を、今後のゼミでの研究にもさらに生かしていきます。特に、実際の災害時にどのような表現であれば外国人にも伝わりやすいのか、今回のワークショップで学んだことを参考にしながら考えていきたいです。また、ゼミのメンバーの意見も聞きながら、より伝わりやすい『やさしい日本語』について研究を深めていきます」
日頃から外国人住民を含めた地域の人たちがつながりを持っておくことも大切—菊池哲佳准教授
「災害に備え、外国人住民に必要な情報をどのように届けるか、また、いざというときに地域でどのように支え合うかは、自治体にとって重要な課題の一つです。特に災害時には、迅速かつ正確に、分かりやすく情報を伝えることが求められます。
『やさしい日本語』は、そのための一つの手段です。言葉を分かりやすくする技術を学ぶとともに、相手に伝わるように工夫し、理解を確かめながらコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切です。また、日頃から外国人住民を含めた地域の人たちがつながりを持っておくことも大切です。今回、地域の方々と学生が一緒に防災について考えたことには、大きな意義があったと感じています。
当日は、学生たちが参加者の意見を丁寧に聞きながら、それぞれのグループで対話を進めている姿が印象的でした。普段ゼミで学んでいることを一方的に伝えるのではなく、地域の方々の経験や考えに触れ、その場で考えながらファシリテーターとしての役割を果たしていました。学生にとっても、教室で学んできたことを実際の地域との関わりの中で捉え直す機会になったと思います。
多文化共生や地域防災を進めるには、自治体や大学の取り組みとともに、地域に暮らすさまざまな人の関わりが欠かせません。日頃から顔の見える関係をつくっていくことが、災害時の支え合いにもつながります。今回の取り組みを一度きりのものにせず、今後も地域と連携しながら、学生が学びを実践につなげられる機会を継続してつくっていきたいと考えています」
菊池准教授がNHKの番組にて監修協力
NHK「首都圏ネットワーク」の防災コーナー「シュトボー」にて、外国人観光客と防災をテーマとした特集が放送されました。 菊池准教授は特集の監修に携わったほか、番組内でもコメントしています。
NHK「首都圏ネットワーク」10月1日放送回
※NHK ONEにリンクしています(配信期限:10月8日(木) 19時00分)