経営学部経営学科 谷井ゼミ(担当:谷井良教授)では3年生を対象に、シェアリングエコノミーのパイオニアである軒先株式会社(以下:軒先社)との産学連携プロジェクトを展開しました。4か月もの期間をかけて取り組んだ本プロジェクトの集大成として、2026年7月29日に学内で開催された最終報告会の内容をご紹介いたします。
概要
谷井ゼミとは
谷井ゼミでは「ビジネスプランニング」について日々学んでおり、新商品・新サービス・新事業によって新しい価値を生み出す力を養っています。また、学び得た知識のアウトプットの場として、ビジネスの第一線で活躍される方をゲスト講師に招聘し、産学連携活動を行って自分たちが企画したビジネスプランについて授業内で成果報告会を行うことも特徴の一つです。
今年のテーマ
今年で8年目を迎える軒先社との産学連携プロジェクトでは、「軒先社登録の遊休スペースまたはシステムを使ってSDGsに関連した新しい事業・サービスを考え、提案する」をテーマに取り組んできました。具体的な取り組みは以下のとおりです。
(1)シェアリングエコノミー業界、軒先社、ライバル企業の現状を分析する。
(2)軒先社に登録されている遊休スペースまたはシステムを使ってSDGsに関連する新しい事業・新しいサービスのアイデアを創出し、企画としてまとめて提案する。
企画提案(プレゼンテーション)への準備
SWOT分析とクロスSWOT分析を活用した軒先社の現状分析から始まり、マーケティング調査に基づくサービスの提案、さらには収益モデル・収益システムや収支計画の例示、競合他社との比較など、多角的な視点から企画をつくりあげるのも谷井ゼミならではの特徴です。
報告会の様子
報告会では、軒先社・西浦明子社長をゲスト講師に迎え、4チームによる企画提案(プレゼンテーション)に挑戦しました。
4チームの企画案について
・遊休スペースを活用した短期個展やマルシェサービス
・イベント会場周辺の空き店舗や遊休スペースを活用し、一時的な荷物預かりサービス(ロッカー)の提供
・推し活をしたい人と、空きスペースを持つ店舗や施設をつなぐマッチングシステム「OSHI SPACEマッチング」
・無料で水分補給と休憩ができる都市型オアシスを提供するサービス「軒先給水スペース」
・店舗で余った食品をアプリで販売し、消費者とマッチングするサービス「軒先FOOD HUB」
・外国人旅行者と日本人の日常を体験させたいホストを軒先のマッチングシステムでつなぐサービス「NOKISAKI LOCAL EXPERIENCE」
・遊休スペースを地域の交流拠点へと転換し、人生経験を持つ人と、その知恵や対話を必要とする人をつなぐコミュニティプラットフォーム「人生シェアラウンジ」
・全国の軒先スペースで実施するリアルな市場実験から、消費者の行動・属性・反応を可視化。商品開発やエリア戦略に活きるインサイトデータを提供する「軒先インサイト」
・駅や商業施設などの遊休スペースを活用し、宗教ごと祈りの空間を提供するサービス「GOD SPACE」
・軒先社に登録された建物と建物の間の余ったスペースや公園などの遊休スペースを、ドローン物流業者と提携し着地や中継地点として貸し出す「ドローン楽々配達」
・ドローン楽々配達の予約管理や利用料金の管理をクラウド上で行い、ドローン物流の効率化と遊休スペースの収益化を実現する「ドローン配達マッチングシステム」
・観光客からゴミを受け取り、空きスペースに集めることで、きれいな観光地をつくるサービス「MONSTER GATE~ゴミを食べる妖怪~」
各チームの新事業・サービスの提案後には、軒先社の西浦明子社長より企画案についての質疑応答が行われました。提案内容については、軒先社に登録されている遊休スペースまたはシステムを使ってSDGsに関連する新しい事業・新しいサービスのアイデアを創出することがテーマであったため、学生達の企画案について課題への着眼点、競合サービスとの差別化、実現性の有無、事業として継続的に収益を得ることができるのかなど講評していただきました。
一方で、事業分析やAIでは出すことができない一次情報などが不足しているチームもあり、学生たちは新しい事業・新しいサービスを提案することの難しさを痛感しました。さらに、社会的な課題として必要な事業であっても一企業が取り組むべきことか、国や自治体が取り組むべきことに企業がどう関わっていくのか、あらためて考える機会になりました。
軒先社 西浦社長による講評
4チームともにテーマの選び方が今時の課題を反映しており、着目点は非常に良かったです。ここ数年、学生たちのプレゼンテーションを聞いて感じることは、AIとの付き合い方です。普段からAIを使われていると思いますが、今回様々なAIツールを使ってプレゼンテーションを行ってくれました。企画を考えるだけであったらAIを使えばいくらでも企画は出てきますが、そのAIが出した企画をその通りに行ったとしてもうまくいかないのが事業です。AIにはできなくて皆さんができることは一次情報を得ることです。今回のプレゼンテーションではもう一歩突っ込んだ提案があれば良かったです。考えた企画が、本当に実現性がどれだけあるのか一次データを取得して裏付けを取ることを行ってほしいと思います。これから机上で学ぶ様々なフレームワークや学知的な学びはありますが、AIでは回答が得られないような情報を積極的に自らの足を使って得ることを加味して、事業プランを最終的に仕上げてほしいと思います。日々の生活の中やニュースで知った課題をもとに様々な事業案を作ってくれたことは面白かったです。これからも興味深いところを追求してください。
学生たちの感想(事業提案にあたり苦労したこと等)
Aチームリーダー(畠中 芽美さん)
今回、経営学部で学んできた知識や分析等を活かしながらプレゼンテーションを考えることや、軒先社との関連性やSDGsとの関連性を考えながら課題に取り組むことに苦労しました。作業するにあたり、生成AIと対話しながら進めて、チームのメンバーと何度も提案内容で引っかかる点について話し合いを積み重ねて課題の解決に努めることができました。
Bチームリーダー(澤田 光冴さん)
チームの提案内容はマネタイズをしやすい事業を選びまとめていたのですが、中間報告の際に軒先社の西浦社長にマネタイズしづらい事業であることを指摘されました。そこから事業を見直してどういう事業がマネタイズしやすいのかを考え、ターゲットの選定や実際のイベントに特化した工夫をチームのメンバーで協力して改善に努めることができました。
Cチームリーダー(松尾 茅紗都さん)
チーム内での話し合い中で提案内容はすぐにまとまったのですが、取り組みに対するモチベーションに個人差があるメンバーの集まりだったので、集まって作業する機会が限られてしまい、直前になって焦り始めてしまいました。その状況でも、メンバー同士がお互いを信頼していたこともあり、切羽詰まった状態でも協力しながら円滑に話し合いを進めることができました。
Dチームリーダー(植村 真紘さん)
中間報告の際、計画性が足りず締め切り直前になって焦り動き出したことで提案内容が決めきれずに薄くなってしまったことが課題でした。中間報告後は、チームで何をいつまでにやるのか決めて共有することで、時間に余裕を持って行動することができるようになり課題も解決することができ、提案内容もしっかり中間報告よりも詰めることができました。
軒先株式会社について
だれでも簡単にお店が開ける「軒先ビジネス」、社会問題を解決する新たな駐車場のシェアシステム「軒先パーキング」、既存飲食店の空き時間を活用して開業できる「magari(まがり)」など、複数のスペースシェアサービスを運営している日本国内におけるスペースシェアのパイオニア企業。
【社名】軒先株式会社
【所在地】東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F
【代表者】西浦 明子(代表取締役)