教室講義で学んだ知識や技法を実践に活かす
経営学部中島洋行ゼミナールでは、3年生の「ゼミナール1」の活動の一環として、「はちチャレ」プロジェクトに取り組んでいます。「はちチャレ」とは、八王子駅北口にあるレンタル店舗の名称であり、2026年5月16日(土)・23日(土)・24日(日)・6月21日(日)の4回にわたり店舗を借りて、学生が企画・製造した「パラコードストラップ」など4種類の商品をユーロード商店街などで販売しました。
「はちチャレ」プロジェクトの特徴は、経営学部で2年生までに学んだ経営管理・マーケティング・会計の基礎知識を活かしながら、商品開発、試作品作成、量産、販売、経理に至るまでの経営活動の一連のプロセスを実際に体験する点です。これらの活動を通じて、学生自らが考えて、自らの手で必要な経営判断を下すことによって、経営学の学びをさらに深める点にあります。「はちチャレ」の活動は大きく分けて、3つのプロセスに分けられます。
(1)商品開発から事業計画プレゼン
3年生のゼミ内を3つの班に分けて、販売候補商品の検討(商品開発)、試作品の作成を経たうえで4年生のゼミ学生に対して事業計画プレゼンを実施し、投票の結果、2026年度の販売商品が決まります。投票で選ばれるためには、商品の特性やデザインだけではなく、採算性や生産能力なども盛り込んだプレゼンをどこまでできるかがポイントになります。今年度はアウトドアなどで使われる「パラコード」と呼ばれるカラフルで丈夫なロープを活用したストラップ、ペットボトルホルダー、ブレスレット、キーリングの4種類を生産します。
(2)量産活動
販売商品が決まった後は、量産活動に移行し、販売日から逆算した生産計画を立てます。生産計画に基づいて、原材料の調達や生産活動を担当する人員の割り当てを行います。品質のばらつきが出ないように注意しながら、各種類の商品を50~100個ほど量産していきます。マンパワーが限られていることから、各自が得意とする作業を優先的に割り当てたり、生産効率を上げたりするための工夫を常に考えていくことが求められます。
(3)販売活動
販売活動では、よりリアルな環境を作るために家族や友人などを呼ぶことは禁止するというルールの下で、商店街を通行するまったく面識のない方に声をかけて、実際に商品を確認いただきながら販売することを試みます。各日の営業終了後には販売数と在庫数の照合、帳簿現金有高と実際現金有高の照合を義務付けて、誤差(現金過不足)が一定の範囲に収まるまで確認作業を行います。また、販売活動の合間にあるゼミの授業日には改善点を議論し、できる限りの改善を行ったうえで次の販売活動に臨みます。最終的にプロジェクト期間を通じた損益計算書を作成し、収支を確認します。
2026年度の活動では、5月23日と24日は近隣で開催された大規模なイベントと重なり、6月21日はサッカーのワールドカップの日本代表の試合時刻と重なったことで、商店街を通行する人の流れや年齢層が例年とは大きく変わりました。そのため、声掛けしてもなかなか売れずに苦戦を強いられる場面もありましたが、最終的に4日間の営業活動を通じて4種類の商品合わせて293個販売し、売上も13万円近くに達しました。営業日や営業時間が毎年少しずつ異なるため、単純比較はできませんが、これまでの9年間の活動の中では最も大きな売上高となりました。
「はちチャレ」の活動を振り返るゼミの授業では、商品企画から販売活動に至るまでの約2か月の活動を再検討することによって、自己評価や全体評価を行うとともに、この活動を今後にどのように活かすかという視点からゼミ学生間で議論を行います。過去最大の売上高には到達しましたが、学生からは「この部分をもっとこのように工夫していれば・・・」という反省の声が多く聞かれたことが印象的でした。今回の経験を次のプロジェクトにどのように活かすかが大切であり、しっかりとした振り返りができたことはとても良かったと感じました。
2018年からスタートした「はちチャレ」の活動も今年で9年目を迎えました。初期の頃は1万円の壁を超えるだけでも大変でしたが、近年では販売する商品のレベルも上がり、売上高も右肩上がりに増えてきました。商品開発、生産活動、販売活動という経営学の一連のプロセスを体験的に学ぶ取り組みは全国的に見ても珍しいものであり、近年では「はちチャレ」の活動を体験したくて中島ゼミを志望する学生も増えてきました。これからもゼミ活動を通じて、明星大学の教育理念の一つである「実践躬行の体験教育」を様々な形で具現化していきたいと考えています。