人文学部国際コミュニケーション学科では、英語コミュニケーションに関する理論を学ぶとともに、実社会と結びついた実践的な学びを取り入れた授業を行っています。
その一環として、2026年6月29日、三上洋介准教授が担当する「英語コミュニケーション論2」において、外資系広告会社でExecutive Directorを務める北市卓史氏をゲストスピーカーに迎え、特別講義を実施しました。
今回の講義は、授業で扱う内容と実際のビジネスの現場を結びつける取り組みとして行われたものです。「英語×ビジネス×コミュニケーション」をテーマに、グローバルな環境で培われた北市氏の経験や知見が学生たちに共有されました。
多様な価値観と協働するために
北市氏は、国内外の広告会社でキャリアを重ね、シンガポールやベトナムでの勤務を経験してきました。現在は、ハヴァス ジャパン株式会社(Havas Japan)で、事業成長や組織運営を担うExecutive Directorを務め、日本を拠点に多国籍なメンバーと協働しながら、グローバルな業務に携わっています。
講義では、シンガポールやベトナムをはじめ、国内外のビジネスの現場で積み重ねてきた豊富な経験をもとに、多国籍な環境で働くなかで直面した戸惑いや葛藤、異なる価値観を持つ人々と協働するために得てきた気づきが、具体的なエピソードとともに語られました。
多国籍のメンバーとの会議で発言のタイミングをつかめなかった経験や、現地スタッフとの意思疎通に苦労した経験、考え方の異なる相手との議論の進め方など、文化や価値観の違いから生じる課題を例に挙げながら、それぞれの状況に応じたコミュニケーションの重要性について解説しました。
その中で北市氏は、国際ビジネスの現場で重要なのは、単に英語を流暢に話すことではなく、異なる背景や価値観を持つ相手と信頼関係を築きながら、自分の役割や居場所を見いだしていくことだと語りました。そうした姿勢こそが、多様な人々と働くうえでの鍵であるとしたうえで、学生たちに対し、興味や関心のあることには積極的に挑戦し、新しい環境へ飛び込んでほしいとメッセージを送りました。
「自分の普通が、普通ではないと気づく」—講義を通して得た学生たちの気づき
講義後のレポートでは、学生たちから異文化コミュニケーションや国際ビジネスへの理解が深まったことがうかがえる感想が数多く寄せられました。
「外国人として生活する経験は、自分の普通が普通ではないと気付く経験になる」という言葉が印象に残った。また、「読む・合わせる・面白がる」という考え方も今後意識したいと思った。将来は英語を使う仕事に就きたいと考えているため、語学力だけでなく、自分の考えを伝える力やコミュニケーション力も伸ばしていきたい。
「世界は意外と開けているから国際ビジネスはなんとかなる、がんばること」という力強いメッセージが印象に残った。これまでグローバルに働くためには完璧な語学力が必要だと思い込んでいたが、本当に大切なのは、自分と異なる多様な人々の中で自分の役割を見つけ、価値を発揮していくことだと学んだ。
外国で長年にわたり活躍してきた行動力と挑戦する姿勢に感銘を受けた。異なる文化や価値観の中で働くことは簡単ではないと思うが、新しい環境へ飛び込み経験を積み重ねてきた姿から、自ら行動することの大切さを学んだ。失敗を恐れず、多くの経験を通じて成長していきたいと思う。
三上准教授は、国際的な環境では誤解や失敗がつきものである一方で、それで終わるのではなく、「もう一度やってみよう」という前向きな姿勢が、楽しさにもつながるといいます。失敗に落ち込むのではなく、自分の好きなことや興味のあることを続けながら成長していってほしいと学生たちへ呼びかけました。
「もう一度やってみよう」が、学びを楽しさに変える —三上准教授コメント
三上准教授は、国際的な環境では誤解や失敗がつきものである一方、それを失敗のままで終わらせず、「もう一度やってみよう」と前向きに捉える姿勢が、学びやコミュニケーションの楽しさにもつながると話します。今回の講義を通して学生たちに伝えたかったことについて、次のようにコメントしました。
「今回ゲストスピーカーとして登壇してくださった北市さんとは、十数年前、イギリスのUniversity of BathのMBA(経営大学院)で出会いました。当時、私たちはともに仕事を辞めて留学し、将来への期待と不安を抱えながら大学院生活を送っていました。
大学院最初の授業で、ある教授が繰り返し強調した言葉を、北市さんも私も今でも鮮明に覚えています。それは Contribution(貢献) という考え方です。
教授は、『この授業では、自分が何を得るかではなく、この場で何を貢献できるかを考えなさい』と語りました。疑問や意見を共有することがクラス全体の学びにつながり、英語が完璧であることよりも、周囲に貢献しようとする姿勢が何より大切だというメッセージでした。
ネイティブスピーカーのように流暢な英語を話せなかった私たち日本人にとって、この言葉は大きな支えでした。留学生だからといって教室の隅で息を潜めるのではなく、たとえ不十分な英語でも堂々と発言しなさい、と背中を押されたことを今でも覚えています。
十数年を経て、北市さんはグローバルビジネスの第一線で、多国籍なメンバーと協働しながら活躍されています。今回の講義で語られた「異なる価値観を持つ人々と信頼関係を築き、自分に何ができるかを考え続ける姿勢」は、私たちが大学院でともに学び、今も共有しているContribution(貢献)の精神そのものでした。学生の皆さんが講義から大きな刺激を受けている姿を見て、その大切さを改めて実感しています。
国際コミュニケーション学科では、2027年度から新しいカリキュラムのもと、『グローバル・キャリアコース』『英語教育コース』『多文化共生・国際共創コース』の3コース制を導入します。教室での学びを実社会と結びつけながら、自ら考え、他者と協働し、社会に貢献できる力を育んでいきます。学生の皆さんがさまざまな挑戦を重ね、それぞれの可能性を広げていくことを願っています。」
明星大学公式Instagramでショートムービー公開中
明星大学公式Instagramで授業の様子を、リールで公開しています。ぜひ以下の画像リンクよりご覧ください。