大学院情報学研究科 情報学専攻 博士後期課程2年の清水海人さんの研究「Emerflux9:2層液体を用いた水面ディスプレイの提案」が、コンピュータグラフィックスおよびインタラクティブ技術分野における世界最高峰の国際会議「ACM SIGGRAPH 2026」のEmerging Technologies部門に採択されました。
本研究は、情報学部の尼岡利崇教授の指導のもと、博士後期課程2年の清水海人さんが進めている研究です。清水さんを含む学生4名で構成するチームで、2026年7月19日(日)から7月23日(木)までアメリカ・ロサンゼルスで開催される同会議に参加し、現地で体験型デモ展示を行います。
本展示発表にあたり、明星学苑では明星学苑創立100周年記念募金事業「学会発表等支援事業」による助成金の交付を決定し、学生による国際的な研究成果の発信を支援します。
水面をディスプレイにする、新しいインタフェース技術
清水さんの研究は、液体や物体がもつ質感や動きを情報提示に取り込む、新たなメディアの設計を目指しています。
今回採択された「Emerflux9:2層液体を用いた水面ディスプレイの提案」では、水と油の二層構造を利用し、水面そのものを表示媒体として扱います。局所的に水を噴出させることで、黒い水面上に白いピクセルを表示し、液体ならではの揺らぎや柔らかさを生かした情報提示の可能性を探る研究です。
従来のディスプレイでは表現しにくい、物質そのものの質感や振る舞いを情報技術と結びつける点に、本研究の特徴があります。Emerging Technologies部門は、来場者が実際に技術を体験できるデモ展示を通じて、新規性や完成度、体験価値を発信するプログラムです。
※清水さんの研究の詳細は、研究活動広報誌「LiT」Web版「LiTレポート」に掲載しています。
LiTレポート「水面をディスプレイにする──揺らぎが画面になる」
異分野の視点から、EmerFluxの可能性をひらく
清水さんに、研究を進める中での工夫や、現地での展示に向けた思いを伺いました。コメントからは、水面を情報提示のメディアとして扱うための試行錯誤と、多様な分野の人々との交流を通して、研究や表現の新たな展開を見いだそうとする期待が伝わってきます。
世界最高峰の舞台で研究成果を展示できる喜び
「このたび、SIGGRAPH 2026 Emerging Technologiesに採択いただいたことを、大変光栄に思います。SIGGRAPHは、世界中の研究者やクリエイターが集まる国際的な場であり、その中で自身の研究成果を実際に展示できることを非常に嬉しく感じています。
特にEmerging Technologiesでは、これまで私の研究にとって参考となる研究が数多く発表されてきました。そのような場において、私の研究が採択され、展示の機会をいただけたことは、大きな励みになっています。」
水面を情報提示のメディアとして成立させるための試行錯誤
「特に苦労したのは、液体の制御です。本研究では、水面上に生成される隆起をピクセルとして扱うため、視認しやすい形状を安定して維持する必要があります。そのため、液体の粘性やポンプの出力、ノズルの構造などを調整しながら、繰り返し実験を行いました。
また、単に液体を正確に制御するだけでなく、液体特有の有機的で自然な動きや、見ていて心地よい表現をどのように生み出すかについても工夫しました。さらに、色の見え方や液体との相性を考慮しながら、どのような素材で色をつけるのかについても試行錯誤を重ねました。」
多様な分野の来場者との交流に期待
「SIGGRAPHの現地では、研究者だけでなく、デザイナー、アーティスト、エンジニアなど、さまざまな分野の来場者に実際にEmerFluxを見ていただけることを楽しみにしています。
本研究は、水面そのものを情報提示のメディアとして扱う試みであり、従来の平面的なディスプレイとは異なる体験の創出を目指しています。来場者がどのように感じ、どのような応用の可能性を見いだしてくださるのかに、大きな期待を持っています。
現地で得られる意見やフィードバックを通して、今後の研究の改善点や新しい展開のヒントを得たいと考えています。また、国際的な場で多様な分野の方々と交流することで、作品や表現としての可能性もさらに広げていきたいです。」
世界の舞台で得る経験を、次の挑戦への原動力に—情報学部 尼岡利崇教授コメント
「SIGGRAPHは、コンピュータグラフィックスやインタラクティブ技術の分野における世界最高峰の国際会議として知られています。その中でもEmerging Technologiesは、最先端の研究成果やプロトタイプを実際に体験できる展示形式のプログラムであり、世界中の研究者や企業、クリエイターが新しい技術や表現の可能性を発信する場として高く評価されています。
私自身もこれまでSIGGRAPHで研究発表を行ってきましたが、今回、明星大学大学院博士後期課程の清水海人さんの研究が採択され、学生たちとともにこの国際的な舞台に参加できることを大変嬉しく思っています。
今回発表する研究は、決して短期間で実現したものではありません。清水さんは研究活動を通じて多くの試行錯誤を重ね、一つひとつの課題に真摯に向き合いながら研究を積み重ねてきました。その努力の積み重ねが今回の成果につながったことを大変誇りに思います。
世界中の研究者や企業と同じ場で研究成果を展示し、自らの言葉で研究を説明し、議論を交わす機会は決して多くありません。今回参加する学生たちには、発表を成功させることはもちろん、多くの人々との交流を通じて視野を広げ、自分たちの研究や将来の可能性について深く考える機会にしてほしいと思います。
また、SIGGRAPH Emerging Technologiesへの採択は、明星大学発の研究が世界に認められたことを示す大きな成果でもあります。学生たちには自信を持って発表に臨み、研究の面白さや価値を世界中の来場者に伝えてほしいと思います。
今回の経験が学生たちにとって大きな自信となり、次の挑戦への原動力になることを期待しています。そして、この経験を通じて得られる出会いや学びが、未来の研究や新たな価値創出につながっていくことを願っています。」