人文学部 人間社会学科の高部優子教授が、2026年3月に実施された平和学プログラム「今と未来をつくる平和学」に講師として参加しました。本プログラムは、大阪女学院大学、認定NPO法人テラ・ルネッサンス、認定NPO法人PEACE DAY、学校法人角川ドワンゴ学園らと共同で実施されたもので、N高等学校・S高等学校・R高等学校、N中等部の生徒を中心とした若い世代を対象に、積極的平和の考え方や日常に潜む「暴力」と「対立」のしくみを理論と実践の両面から学ぶ機会を提供しました。
「平和」は遠い世界の話ではない─プログラムの実施背景
ウクライナやガザなどをめぐり、世界各地で武力衝突が続く中、日本の若い世代が「平和」を“自分ごと”として捉える機会は、依然として限られています。
一方で、日常の友人関係や家族間の摩擦も、国際社会で起こる「対立(コンフリクト)」と本質的には同じ構造を持っています。
本プログラムは、こうした「大きな平和」と「身近な平和」に共通して存在するコンフリクトについて学びながら、参加者一人ひとりが社会づくりに主体的に関わる力を養うことを目的に実施されました。
「友達との喧嘩から紛争まで」─対話を通して“対立”を考える
プログラムは全6日間にわたり、講義とワークショップを組み合わせながら実施されました。
実施主体の一員として参加した高部教授をはじめ、平和学・国際関係を専門とする研究者や、紛争地で活動するNPOスタッフらが講師を担当。「平和と暴力」「子ども兵問題」「コンフリクトとその転換」などをテーマに、多角的な視点から理解を深める内容となりました。
参加者は、講義を受けるだけでなく、対話やワークショップを通して、自身の経験とも重ね合わせながら「対立」とどう向き合うのかについて考察。
参加者からは、
「平和とは戦争がない状態だけではなく、日常生活や社会構造の中にも様々な暴力が潜んでいるという視点が印象に残りました。」
「文字通り世界を見る目が変わりました。これから買う物の産地や製造過程にも目を配りながら生活しようと思います。」
といった感想も寄せられました。
小さな対話と行動の積み重ねが、平和な社会をつくる
高部教授は、「紛争解決コミュニケーション」や「平和研究」を専門としており、本プログラムでは「平和と暴力」をテーマに、講義やワークショップを担当しました。
今回の取り組みを通して、「平和な社会」について高部教授は次のように語っています。
「平和な社会とは、単に戦争や暴力がないだけではなく、多くの人が『平和をつくる行動』をしている社会だと思います。対立や葛藤は避けられないものですが、それをエスカレートさせるのではなく、対話を通して互いのニーズに耳を傾け、多様な解決の可能性を探ろうとする姿勢は、誰もが学び、実践できるものです。
さまざまな声に出会い、自分自身で考え、対話し、新しい関係性を創造していく。小さな対話や行動の積み重ねが、社会を少しずつ平和な方向へ変えていくのだと思います。今回の取り組みが、参加した一人ひとりにとって、日常の中で平和を実践するきっかけになれば嬉しく思います。」