デザイン学部が重視しているのは、「何をつくるか」だけでなく、「どう伝えるか」。その学びの集大成として、2026年1月9日に「明星デザインプレゼンDAY」と題し、学部開設科目「プレゼンテーション」の最終発表会を実施しました。約120名の学生が参加し、MEISEI HUB内に3会場を設けた大規模な形式で進められた本発表会では、提案内容をどのように伝えるかに重点を置いたプレゼンテーションが行われました。今回が初めての実施となる本取り組みは、学生の発表が途切れることなく続き、会場は活気ある雰囲気に包まれていました。
背景とねらい—「伝える力」を実践で鍛える授業設計
デザイン学部では、企画を社会に伝えるための構成力や表現力を育てることを重視した教育を行っています。2年生の必修科目である「プレゼンテーション」では、その学びを実践へと結びつけるため、社会的な視点を取り入れた課題に取り組むカリキュラムを組んでいます。
今回の課題では、学生が“若手起業家として参加する”という想定設定のもと、中央大学・明星大学駅周辺の再開発エリア(仮想)で開催される新規事業コンペに向けた企画提案を行いました。地域の特性や利用者像を踏まえながら、自身のアイデアをどのように整理し、説得力をもって伝えるかが問われる内容であり、実社会に近い条件の中でプレゼンテーション力を磨く機会となる取り組みです。
「プレゼンをする」の意味─講評が示した次のステップ
当日の発表は、企画内容の良し悪しに加えて、「どのように伝えるか」に焦点を当てた形式で進められました。学生は4分間の持ち時間の中で、根拠の示し方や情報の整理、論理的な構成、声や視線などの話し方、スライドの見やすさを意識して登壇し、事前の準備が行き届いた丁寧なプレゼンテーションが多く見受けられました。
講評では、外部ゲストの視点も交え、伝達力を中心としたフィードバックが行われました。スライド構成やビジュアル面の完成度、調査に基づくエビデンスの提示は総じて評価されました。
ゲスト講師からは、「学生たちの落ち着いた話しぶりや資料の完成度から、日頃の学びの積み重ねが感じられた」との声も聞かれました。一方で、そのエビデンスを何のために示すのかという役割の整理や、企画に込めた意図・想いを「なぜこの企画なのか」という問いに即して自分の言葉で伝える点については、「整った資料を前提に、次は意図や目的をどう言葉にするかが重要になる」といった指摘もあり、次のステップとしての課題が示されました。
これらの講評を通して、学生は自身の表現を客観的に振り返り、授業で培ってきた学びを次の実践へとつなげる手応えを得る時間となりました。
今回の発表を通して見えた学生の気づき
発表後に実施したアンケートでは、多くの学生が自身のプレゼンテーションを振り返り、手応えとともに次への課題を言葉にしていました。
人前で発表する経験を通して、成長を実感した
- 今までのプレゼンの中で一番良かった
- 前回より落ち着いて話すことができた
- この経験は自分の自信につながった
エビデンスや構成の重要性を改めて認識した
- エビデンスが弱かったことに気づいた
- 根拠の役割を明確にしきれなかった
- なぜこの企画なのかをもっと伝える必要があると感じた
“自分の言葉で伝えること”への意識が高まった
- スライドの見やすさだけでなく、話し方や抑揚も課題
- 原稿に頼らず、自分の言葉で話せるようになりたい
- 聞き手を意識したプレゼンを目指したい
こうした振り返りからも、今回の発表会が単なる成果発表にとどまらず、次の学びへとつながる機会となったことがうかがえます。
学部の取り組みについて
今回の企画を担当したデザイン学部の教員からは、学生たちの成長や本企画の意義について、次のようなコメントが寄せられました。
三本松淳 准教授
プレゼンテーション力は、デザイン学部が標榜する「デザイン=企画×表現」を体現する力の一つであり、特に重視している能力です。今回、MEISEI HUBにて教室外でのプレゼンテーションを実施し多くの方にご覧いただいたことで、パフォーマンスを通じて相手の心を動かすために必要な要点を、実感を伴って学ぶことが出来たのではないかと思います。
またゲスト講師に多くの職員の皆さんに参加いただいたことで学生、教員、職員が一体となって『学びの場』を創出出来たことも意義のあることだと思います。
本間由佳 准教授
プレゼンテーションにおいて最も重要なのは、聞き手の心を動かせているかどうかだと考えています。テクニックや構成がどれほど整っていても、そこに想いや必然性が伝わらなければ、プレゼンとしての力は十分とは言えません。
本授業では、「何を伝えるか」だけでなく、「なぜそれを伝えたいのか」を自分の言葉で語ることを重視してきました。今回の発表を通して、学生たちは表現の先にある“心に届く伝え方”への一歩を踏み出したように感じています。