経済学部では、2026年1月13日〜15日まで、日野校28号館で「経済学部データ分析コンペティション」を開催しました。
この取り組みは、経済学部の小林健太郎ゼミ(都市経済学、経済統計)、坂本智幸ゼミ(応用計量経済学)、堀江優子ゼミ(簿記論、財務会計論)に所属し、統計やデータ分析を用いた研究に取り組む学生たちが参加し、日頃の研究成果をポスター発表およびプレゼンテーション形式で発表するものです。
会場には、社会のさまざまなテーマを対象に、データをもとに現象を読み解こうとする研究発表が並び、各所で議論が交わされていました。
なかには卒業研究の口頭諮問を兼ねた発表もあり、分析手法や結果の解釈をめぐって専門的なやり取りが交わされる場面も見られました。本コンペティションは、データ分析を“実践の場”で磨くことを目的とした取り組みです。
データ分析を軸にした発表と議論の場
今回のデータ分析コンペティションでは、ポスター発表が3日間を通して行われ、学生による研究発表が各所で展開されました。発表の場では、分析に用いたデータや手法、そこから導かれた結果について説明が行われ、学生と来場者が足を止めてやり取りを重ねる姿が各所で見られました。
最終日には、プレゼンテーション部門の発表が行われ、会場をアカデミーホールに移して学生たちが登壇しました。研究の背景や課題意識、分析の視点、結果の考察が発表され、発表後には、経済学部の教員から、内容そのものに加えて、統計手法の選択やデータの扱い方に関する質問やコメントが寄せられました。仮説の立て方や分析の切り口について意見が交わされる場面も多く見られました。
発表内容例
コンビニエンスストアの立地と人口密度
コンビニエンスストアの立地と地域の人口密度との関係に着目し、地域別データをもとに統計分析を実施。人口構成や都市・地方の違いによって出店傾向にどのような特徴が見られるのかを検証し、身近な存在であるコンビニを切り口に、都市構造と経済活動の関係を読み解いた研究。
ウマ娘が地方競馬にもたらす経済的影響について
スマートフォンゲーム「ウマ娘」のヒット以降、地方競馬の売上や来場者数にどのような変化が生じたのかをデータで分析。時系列データや開催情報をもとに、コンテンツと地域産業の関係を数量的に検証し、エンタメが地域経済に与える影響を考察した。
Jリーグにおける観客動員数の要因についての考察
勝敗、スター選手、ホームタウン人口などの要素が観客動員数にどのように影響しているのかを回帰分析によって検証。クラブごとの違いにも着目し、スポーツビジネスにおける「人が集まる要因」をデータから明らかにしようとした研究。
食品価値と食品ロスの関係性に関する考察
食品価格や所得水準などのデータを用い、食品ロスの発生構造を分析。どのような条件で食品ロスが増減するのかを統計的に捉え、持続可能な社会に向けた課題を経済データの側面から考察した。
紙ストローを対象とした不便性および支払意思に基づく環境配慮行動の持続可能性に関する考察
アンケート調査データをもとに、紙ストローに対する不便さの認識と支払意思の関係を分析。環境配慮行動がどのような条件で継続されやすいのかを統計的に検証し、制度設計や消費者行動への示唆を導いた研究。
※ほかにも、ゲーム、労働市場、産業構造、、交通渋滞、地域経済、熊の出没などをテーマにした多様な研究発表が行われました。
学生の発表に見る、経済学部の学びの姿
こうした発表の数々について、本企画を担当した経済学部 小林健太郎教授は、次のように話します。
「今年で3回目の取り組みになりますが、学生それぞれの発表内容を見ていると本当に面白いと感じます。テーマも切り口もさまざまで、データ分析を軸にしながら、自分の関心をきちんと研究に落とし込めている。ぜひ来年以降も継続していきたいですし、参加する学生がさらに増えると、より面白い場になると思います。」
発表の現場で感じた、経済学を学ぶ魅力
経済学部と聞くと、「お金」や「景気」、「社会の仕組み」といった言葉や、「ミクロ経済学」「マクロ経済学」といった専門用語が、どうしても先に浮かびます。
しかし、実際に会場に並んでいたのは、スポーツ、ゲーム、食、環境、地域といった、驚くほど幅のある題材でした。Jリーグやゲームなどを題材に、データを通して社会の動きを捉えようとする研究もあれば、食品ロスや紙ストローのように日常と社会問題を結びつけた研究もあります。発表を追ううちに、「経済学=扱えるテーマが決まっている学問」ではなく、自分の興味そのものが学問の入口になる分野なのだと感じるようになりました。
もちろん、ただ自由にテーマを選んでいるわけではありません。どの発表にも共通していたのは、統計やデータ分析という専門的な手法を用いて現象を捉えている点でした。学生たちは、自分の関心を出発点に、データを用いて分析を行い、その結果をもとに発表していました。
今回の「データ分析コンペティション」を通して、「研究」するとは、身の回りの出来事や自らの興味関心を、専門性を通して捉え直すということです。それこそが、経済学部で学ぶ、ひいては大学で学ぶ魅力や面白さであると改めて強く感じました。