2025年度 経済学研究科 第10回実務家セミナーにおいて、「グローバル三井物産の経理・財務の中核」をテーマに、三井物産フィナンシャルマネジメント株式会社の皆様を講師として迎えた特別講義が、11月13日に明星大学日野校で開催されました。本セミナーには、明星大学大学院経済学研究科および、明星大学経済学部の学生が参加し、日本を代表する総合商社の“リアルな会計・財務の現場”に触れる貴重な機会となりました。
グローバル企業の経理・財務の中核を担うMFM
三井物産フィナンシャルマネジメント株式会社(MFM)は、三井物産グループの経理・財務機能を統括し、グローバル取引に伴う会計処理、事業投資に関する財務管理、連結決算の取りまとめなど、同社の経営基盤を支える中核的役割を担っています。
今回のセミナーでは、三井物産の主要事業であるトレーディングと事業投資 を題材に、実務に即したケーススタディを通して講義が行われました。
実務に近いケーススタディで“商社の会計”を体感
講師からは「なぜその仕訳になるのか?」という問いかけが随所にあり、学生は根拠を言語化しながら回答しました。対話を中心に進められた講義は終始和やかな雰囲気で、理論だけでは掴みにくい“実務の思考プロセス”を丁寧に解きほぐす時間となりました。
トレーディングを題材としたケーススタディでは、海外からの乳製品を輸入する場面を想定し、契約条件や所有権移転のタイミング、海上保険料や運搬費の扱い、在庫計上、売上計上、代金回収までの一連の流れを具体的に学びました。学生から講師へ積極的に質問が飛び交い、実際の業務の複雑さと判断のポイントが立体的に理解できる時間となりました。
さらに、その後に続いた 事業投資をテーマとしたケーススタディにおいても、企業価値の捉え方や投資判断の視点など、会計とはまた異なる角度からの実務的な議論が展開され、講師と学生の間で活発なやり取りが続きました。トレーディングと事業投資という異なる領域を扱ったことで、総合商社の事業を支える会計・財務業務の幅広さを実感しながら学ぶことができました。
若手社員との交流で、さらに理解を深める
セミナー終了後には、MFMの若手社員も参加する交流会が行われました。年齢の近い社員との対話を通じて、学生は実務の内容やキャリア形成のリアルをより深く理解することができました。
参加した学生からは、
「税理士を目指す学生が多いなかで、“会計・経理にはこんな世界があるのか”と新しい視点を得ることができました。実務に根ざしたケーススタディを通して、税理士以外のキャリアの可能性も見えてきました。本当に貴重な学びでした」という声が寄せられました。
また、税理士事務所で働いた経験のある学生からは、
「今日のケーススタディで“会社の会計の現場”のリアルを初めて理解できました。税務だけではなく、企業の会計・財務のプロとして働くイメージが持て、大変刺激になりました」との感想があがり、交流会を通じて学びがさらに深化したことが伺えました。
グローバル企業の会計を体感した学びの成果
本セミナーは、MFMによる実務ベースのケーススタディと対話を通じて、学生がグローバル企業の経理・財務の価値と奥深さに触れる貴重な場となりました。実務の現場で求められる視点や判断のプロセスに触れることで、「本学で学んでいる知識が社会の最前線でどのように活かされるのか」を具体的にイメージできた学生も多く、学びが一段と立体的になった講義でした。
経済学研究科長の濵田明子教授は、この特別講義について、
「学生が培ってきた専門知識を、より広い視野で社会に活かすうえで、本日のセミナーはきわめて有意義な機会であった。総合商社のダイナミックなビジネスの中で、会計がどのように価値を生み、社会へとつながっていくのか。その具体像を体感できたことを嬉しく思う。本企画はMFMの全面的な協力なくして実現しえなかったものであり、今後もぜひ継続していきたい」と、意義を強調するとともに、MFMへの協力に対する感謝の気持ちを述べました。
今後とも、社会の結びつきをリアルに感じられる企画を実施し、学生が将来の視野を広げられる学びの場を提供してまいります。