2025年11月25日、明星大学では日野消防署の協力のもと、地震・火災を想定した「総合防災訓練」を実施しました。本訓練は、毎年継続して行っている救命講習や応急救護訓練に加え、授業時間中に500名以上の学生および教職員が実際に避難行動を行うプログラムを取り入れたもので、災害発生時の現実に即した判断および行動を促すことを目的とした、例年にない大規模な取り組みとなりました。
「救命の連鎖」の一つの輪として
午前中には、教職員約40名が参加し、「応急救護」に関する訓練としてAEDの使用方法、通報訓練、初期消火訓練、避難誘導に関する行動や注意点などの講習を実施しました。
人形を使った心肺蘇生やAED操作を実践する中で、講師を務めた日野消防署の署員からは「救命の連鎖」の重要性について説明がありました。「救命の連鎖」とは、傷病者を救命し社会復帰につなげるための「心停止の予防」「早期認識と通報」「一次救命処置(心肺蘇生とAED)」「二次救命処置と集中治療」という一連の行動を指し、これらの輪が途切れず迅速につながるほど救命効果が高まるとされています。特に最初の3つは、現場に居合わせた一般市民(バイスタンダー)が担うことが期待されており、「そのためには事前の知識と勇気が不可欠」との呼びかけがありました。
また、119番通報時に通報者と現場の映像を相互共有し、応急手当のアドバイスを行う「Live119」など、実際の災害現場における新しい支援システムも紹介され、「もし現場に居合わせたら自分は動けるだろうか」という不安に寄り添う内容となりました。
今回の訓練では実践の時間を十分に確保し、心肺蘇生を行う役、119番通報を行う役、AEDを準備する役などを全員が交代で担当することで、事故・災害現場を想定した実践的な訓練が可能となりました。
加えて、学内のAED設置場所の把握や避難経路の確認にとどまらず、廊下に障害物が置かれていないかを日頃から点検することなど、災害発生時に学生の安全を守るうえで教職員が果たすべき役割への意識づけにもつながる内容となりました。
参加した教職員の一人は、「このような講習は何度も受けているが、いざという時は迷ってしまう。だからこそ、継続的に訓練を受け続ける必要性を改めて実感した」と話していました。
学生・教職員500名以上が授業中に避難行動を実践
2時限目(10時45分〜12時15分)の授業中に、避難行動を想定した訓練を実施しました。 授業終了15分前、訓練開始を知らせる緊急放送が全館に流れると、訓練であることが事前に告知されていた中でも、校内には一気に緊張感が走りました。
今回の訓練では、参加対象の建物があらかじめ指定されており、学生数の多かった32号館では、避難指示の放送が入った直後から学生たちが順序よく避難を開始。 多数の学生が同時に移動することで生まれる混雑や流れの停滞など、実際の災害時に近い状況を確認することができました。
学生たちは落ち着いて避難行動を行い、混雑の中でも列を乱すことなく移動する様子が見られました。短い時間の中でも訓練であることを意識し、真剣に取り組んでいる姿勢が伝わりました。
また、授業実施中のタイミングで訓練を行ったことで、教員が学生の安全を最優先しながら落ち着いて避難の誘導を行うことも求められました。授業担当教員の協力があってこそ実現した訓練であり、教職員と学生が一体となって災害に備える姿勢を共有する機会となりました。
来住野辰哉チームリーダー(学苑・大学事務局総務チーム)コメント
本訓練の運営を統括した来住野辰哉チームリーダーは、今回の訓練について次のように述べています。
「毎年実施している訓練ではありますが、今年度は例年にない規模での実施となり、準備段階から不安もありました。しかし、実際に行ったことで、今後の課題や改善点がより具体的に見えてきました。一方で、学生が想定以上に真剣に取り組んでくれたことは、大きな成果だったと感じています。
今回の訓練を通して、改めて“災害時の行動は事前の意識に左右される”ことを実感しました。日野消防署の皆さまには企画段階から多大なご協力をいただきましたし、授業時間中の実施にご理解・ご協力をいただいた教職員にも深く感謝しています。
今回見えてきた課題を踏まえ、今後も学生と教職員がともに防災意識を高められる取り組みを継続していきたいと考えています。」