人文学部人間社会学科の天野徹教授と、同学科の有志学生が、立川市の民生委員およびNPO法人立川災害ボランティアネットの有志の方の参加を得て、災害発生時に被災者の位置情報を共有するアプリの実証実験を行いました。
この実験では、天野教授がiOSを用いて開発した位置情報共有アプリを活用し、学生たちが実際にアプリを操作しながら、被災者として災害発生時の滞在地の位置情報および、避難先の一時避難所の位置情報を発信し共有するシミュレーションを実施しました。アプリには、登録者の位置情報をマップ上に表示する機能が備わっており、これを用いて被災者や要支援者の所在を把握することで、迅速で効率的な被災者支援が可能となります。
実験の結果、このアプリは十分に実用可能であることが確認されました。学生たちからは、操作のしやすさや情報共有のしやすさが高く評価されました。また、実験に参加した民生委員の方からは、平常時における応用についての提案がありました。本アプリは、NPO防災まつりにおける社会実験で活用された被災者誘導システムとともに、立川市地域福祉課からも関心を寄せられ、情報提供を行う運びとなりました。本研究室で開発されたアプリやシステムが自治体によって社会実装されたり、新たなシステムの改善に具体的に貢献したりすることで、学生たちの実践的な学びが成果として形になることが期待されます。
この実証実験は、天野教授が提唱する「文理融合・人文社会科学総合の「21世紀型スキル」の習得を目的とした「総合社会科学としての情報社会学」による人材育成」の一環として行われたものです。天野教授の教育実践は、内閣府の「総合知の活用事例」にも採用されるなど、社会的にも高い評価を受けています。
参加した学生からは、「実際に地域の課題に触れることで、学びが現実とつながった」「自分たちの行動が誰かの命を守ることにつながると実感した」といった声が寄せられました。
今後も、アプリの改良を重ねながら、市民団体や行政での活用を目指し、学生の協力を得て社会実装に向けた実験を継続していく予定です。
天野教授は、「理系・文系、さまざまな学部の学生が集まる明星大学の特性を生かして、人間社会学科だけでなく、学部・学科を超えてこの取り組みに興味を持ってくれる学生が出てきてくれることを期待しています」と、今後への展望を語りました。