今回の論文概要について
私たちの周りの物質において、酸素、炭素、窒素、・・、鉄などの元素は、ビッグバン直後には存在せず、恒星内部核融合で生成されてきたと考えられています。しかし、生命を構成する重要な要素である窒素を含むアミノ酸が、どうやって自然界で作られてきたのか長い間よく判っていませんでした。
天体からの赤外線を観測する日本の赤外線天文衛星「あかり」の観測データを解析したところ、低温環境下で窒素を含むアミノ酸のような分子の生成過程に、紫外線が関与していることを明星大学理工学部総合理工学科物理学系 尾中 敬 常勤教授/東京大学大学院理学系研究科 左近 樹 助教/新潟大学自然科学系(理学部・大学院自然科学研究科)下西 隆 准教授の研究グループが明らかにしました。
また、星間空間に豊富に存在する多環式芳香族炭化水素を含む有機物が、重水素取り込んでいる証拠を初めて発見しました。重水素が宇宙空間のどこに潜んでいるのか長い間不明でしたが、有機物が重水素の隠れ家になっていたことを示すことに成功しました。
これらの研究がアメリカ天文学会誌「The Astrophysical Journal」の941 巻、第2号、論文番号 190 に掲載されました。
詳細は、下記の東京大学 大学院 理学系研究科・理学部ウェブサイトをご覧ください。