2022年4月9日(土)明星大学日野校本館にて、「2022年度明星大学通信制大学院入学式」が行われました。 今年度は通信制大学院博士前期課程9名、博士後期課程1名が入学されました。入学者は全員、職業をもった「働きながら学ぶ」学生です。
新たな環境に大きな期待を抱きながら、指導教員や同じ環境で学ぶ仲間と接して、決意を新たにされていました。
ご入学おめでとうございます。
2022年度通信制大学院入学式 学長告辞
明星大学学長 落合一泰
明星大学通信制大学院2022年度新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私は明星大学全教職員を代表し、皆さんを歓迎するとともに、心からのお祝いを申し上げます。
皆さんが入学された本学大学院は、1999年開設という、日本でもっとも長い歴史をもつ通信制大学院のひとつです。皆さんは、この歴史ある明星大学通信制大学院で、今日から学び始めます。
皆さんは、大学を卒業後に職業に就き、あるいは仕事をしながら大学を卒業し、今日に至りました。そして、職業に従事するなかで高めた教育に対する問題意識を大学院で解き明かそうと、決心されました。皆さんが明星大学通信制大学院を研究の場に選択されたことに対し、私は学長として敬意を表します。
新入生の皆さんの経歴と一人ひとりの夢に接しますと、仕事と勉学を両立させる通信制大学院の社会的価値と意義に、改めて気づかされます。
皆さんは、それぞれに個性豊かなバックグラウンドをお持ちです。首都圏のみならず、鹿児島県の高校や沖縄県の小学校、海外の大学にお勤めの方もいらっしゃいます。それは通信教育課程らしい姿であり、そうした学生を持つことは学長冥利に尽きます。
さて、皆さんは、いまここに大学院入学の志を遂げられました。これから文献研究や現地調査、分析等を重ねるなかで、皆さんの問題意識は研ぎ澄まされ、あるいは拡大して行くことでしょう。しかし、研究を完成させるのは、たやすいことではありません。
大学の開設と運営に関する基本法に「学校教育法」があります。それに基づき、文部科学省が省令として定めているのが「大学設置基準」であり、「大学院設置基準」です。
その「大学院設置基準」には、次の記載があります。
「第三条 修士課程は、広い視野に立つて精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うことを目的とする。」
「第四条 博士課程は、専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。」
大学院修士課程、博士課程に関する法律的な定義は、これだけです。どの大学院学位課程にも通用する規程です。つまり、通信教育課程と通学課程の間で、あるいは大学と大学の間で、学位の質に違いがあってはならないという原則が、そこにあるのです。それは、学位というものが、その人物の学術的な質を証明する普遍的な価値尺度だからです。
まだしばらく先の話になりますが、皆さんが学位論文を提出すると、審査があります。論文審査はいつどこであっても、どの論文に対しても厳しいものです。論文は提出して終わりなのではありません。皆さんは、その審査にも合格しなければなりません。
論文審査に当たる先生方からは、厳しい口頭試問があるかもしれません。それは、学位の質を保つために、それが必要だからなのです。学問には、甘えが介入する余地はありません。論文審査に臨むにあたっては、厳しい質問にも根拠をもって返答できるよう、皆さんには十分に準備をしておいていただきたい。
なぜなら、そうした審査や口頭試問の場こそ、自分の研究成果の質やオリジナリティを示す良いチャレンジの機会なのだと、皆さんに積極的に捉えていただきたいからなのです。
古代ギリシャの医学者ヒポクラテスは、ラテン語で言えばArs longa, vita brevisすなわち「技術習得には時間を要するが、人生は短い」という言葉を残しました。技術arsを学術に置き換えれば、この言葉は皆さんにも当てはまります。「学問は時間を要するのだから、大学院在籍期間を無駄にしてはならない」ということになるからです。
皆さんが仕事と学問の両立を図り、いま始まる充実した研究のプロセスを心から楽しんでくださることを、私は期待しています。そして、この日野キャンパスにおいて、修士号取得、博士号取得の喜びを教職員と分かち合う日の遠からんことを、楽しみにしています。
以上、皆さんの明星大学通信制大学院入学を祝うとともに、皆さんの前途への期待を述べ、学長告辞といたします。