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【理工学研究科】化学専攻の大学院生が「日本生化学会大会」で若手優秀発表賞を受賞しました

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【理工学部支援室】

 2019年9月18日(水)から9月20日(金)まで、生命科学分野の研究者が集う「第92回日本生化学会大会」がパシフィコ横浜にて開催され、博士前期課程1年生 荻野 駿さんが若手優秀発表賞を受賞しました。

この学会では、本学から日本学術振興会特別研究員1名と大学院生4名が口頭およびポスター発表しました。

研究発表タイトル:「RAD52が触媒するアニーリング反応において許容されるミスマッチ塩基対の形成」

発表者:日本学術振興会特別研究員 五月女 美香(香川 亘研究室)

発表内容:細胞には、日常的に生じるDNA二重鎖切断を正確に修復する仕組みが備わっている。RAD52タンパク質が触媒するsingle-strand annealingと呼ばれるDNA修復反応では、変異が生じてしまうことが考えられている。しかし、どの程度の変異が許容されるのかについてはよくわかっていない。本研究では、RAD52が触媒するDNA修復反応を試験管内で再現し、RAD52が修復反応において許容するミスマッチ塩基対の形成頻度を明らかにした。

研究発表タイトル:「出芽酵母ゲノムにおけるヒストンバリアントH2A.Zを含むヌクレオソームの動態:部位特異的化学切断法による解析」

発表者:博士後期課程3年生 讓原 秀隆(香川 亘研究室)

発表内容:クロマチン構造の基本単位であるヌクレオソームを構成するヒストンH2Aには、アミノ酸配列が異なるH2A.Zバリアントが存在する。H2A.Zは遺伝子の転写開始点近傍に局在することがわかっているが、H2A.Zを含むヌクレオソームの動態は未だ不明である。本研究では、部位特異的化学切断法により、H2A.Zを含むヌクレオソームのDNA構造が通常型ヌクレオソームのそれと比べ、異なることがわかった。

研究発表タイトル:「RNA依存的二重鎖切断修復におけるRAD52の機能の生化学的解析」

発表者:博士前期課程2年生 土屋 怜平(香川 亘研究室)

発表内容:DNAの両方の鎖が切れてしまう二重鎖切断損傷は細胞にとって致死的であり、細胞にはそれを修復する仕組みが備わっている。二重鎖切断損傷を無傷で相同なDNAを鋳型にして修復する仕組みは古くから知られているが、RNAを鋳型にした修復はほとんど解明されていない。本研究では、RNA依存的修復において重要な役割を担うと考えられているRAD52に着目し、RAD52がどのようにRNAと相互作用するのかを明らかにした。

研究発表タイトル:「DNA修復タンパク質RAD52のクライオ電子顕微鏡解析」

発表者:博士前期課程1年生 荻野 駿(香川 亘研究室)若手優秀発表賞受賞

発表内容:RAD52はDNA二重鎖切断修復ではたらく重要なタンパク質の一つである。RAD52のDNA修復における詳しい作用機序は未だ不明瞭であり、その解明に必要な構造情報は明らかにされていない。本研究では、クライオ電子顕微鏡法を用い、全長のヒトRAD52の立体構造を解析した。その結果、全長のヒトRAD52は11分子からなるリング構造を形成し、C末端側領域の構造はフレキシブルであることが明らかになった。

研究発表タイトル:「In vivoでポジショニングしたヌクレオソームにおけるヒストンH4のN末端テールのDNA結合部位:部位特異的化学切断法による解析

発表者:博士前期課程1年 高附 宏暢(清水 光弘研究室)

発表内容:真核生物ゲノムの基盤構造体であるヌクレオソームにおいて、ヒストン8量体のコア部分から突き出したヒストンテールは、クロマチンの高次構造を制御する重要な領域である。しかし、細胞核内におけるヒストンテールの作用機序はほとんどわかっていない。本研究では、部位特異的化学切断法によりヒストンH4のテールが接触するヌクレオソームDNA部位を決定し、個々のヌクレオソームにおいてH4テールの結合状態が異なることを見出した。