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心と体

心に寄り添うゲームの提案

17Z1-118 三富 瑠音
この提案に至った経緯は、周りに自己肯定感が低い人が多いと感じたからです。実際に、日本人の自己肯定感の低さは他の国に比べて低く、社会でも問題になっています。自己肯定感が低いことは決して悪いことではありません。ただ、自分を受け入れることのできない。そんな人にとって少しでも心の支えになるようなゲームの提案をしたいと考えました。
コミュニケーション心理ゲーム

調査

 初めに、自己肯定感についての調査を行いました。図1は、13~29歳の若者を対象とした意識調査です。 「自分自身に満足している」という質問を、日本を含む7カ国にしたところ、日本は45.8%と低い結果になりました。なぜここまで自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか。自己肯定感が下がる要因を知るために、心理学の専門家への聞き取り調査を行ったところ、「対人関係から生じる自己嫌悪」により、「自己のあり方についての失望」この2点が大きな要因であることがわかりました。では、自己肯定感を高めるにはどうすればいいのでしょうか。自己肯定感を上げるには、「誰かに認めてもらい、自分の可能性を認知すること」が必要となります。そして、自分の可能性を認知する為には、「達成経験」「代理経験」「言語的説得」「承認」この4点が効果的とされています。こちらについては後ほど説明いたします。
 図2は、カウンセリングのイメージを知るために「対面のカウンセリングに対してのイメージ」についてアンケートをとった結果です。50人中41人が「行きにくい」と答えました。理由に多く挙げられたのは、「こんな小さな悩みで行っても良いのかわからない」「人に悩みを相談して否定されるのが怖い」などです。対面のカウンセリングに「敷居が高い」というイメージを持つ人が多いことがわかりました。
 次にゲームについての調査を行いました。ゲームの利点には、「役割を与えられる」「目標に向かってチャレンジができる」「手軽に始められる」の3つがあります。マリオに例えてお話しすると「お姫様を助けるおじさん」と、いった役割を与えられ、「お姫様を救うために悪者を倒す」という目標に向かってゲームをプレイします。つまり、架空空間で何かしらの役割が与えられ、必然的に目標に向かってチャレンジすることができます。最後に、手軽に始められるについてです。1503名 の大学生にゲーム機の所持数のアンケートを実地しました。その結果95%が何らかのゲーム機を持っており、気軽にプレイできることがわかりました。

※図1 満13~29歳の若者を対象とした意識調査。
参考元内閣府より(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiy)

※図2「対面のカウンセリングに対してのイメージ」についてのアンケート

分析

 調査の結果、自己肯定感を高めるために必要な要素はゲームで経験することができると考えました。何かを達成、成功したりする「達成経験」は、ゲームの目標が提示される点で解決できます。自分以外が達成するのを観察する「代理経験」は、ゲーム内で役割を与えられる点で解決できます。自分に能力があることを説明される、「言語的説得」や他人から認められること「承認」は、キャラクターのフィードバックやリザルトで感じることができます。またカウンセリングの敷居の高さはゲームの敷居の低さで解決することができます。これにより、自己肯定感を高めるにはゲームがぴったりだと考えました。

※図3 自己肯定感を高める為に必要なポイントとゲームでできること

企画

 今回私は「ライカ」というゲームを提案します。こちらのゲームは明治大学の下谷航希さん・北陸学院大学心理学科の加藤仁先生の協力を得て制作しております。
 このゲームでは、未知なる宇宙で自分を受け入れる旅をしてもらいます。ドクターであるプレイヤーが、宇宙に旅立ち、悩みの持つキャラクターの話を聞いて肯定してあげます。
図4のフローチャートがゲームの流れになっています。まず初めに、プレイヤー自身の性格診断が行われます。このゲームはプレイヤーと同じ悩みを持ったキャラクターとの対話で自己肯定感があがる仕組みになっています。でてくるキャラクターは自分自身の悩みがバラバラに具現化されたキャラクターです。(図5)その為、人によってくるキャラクターは違います。
 性格診断が終わると、ゲーム本編が始まります。まず初めに宇宙船に相談しにくるキャラクターの悩みを聞きます。(図6)ドクターという役割を与えられ誰かの役に立つことにより「代理体験」ができ、自分は必要な存在なんだと感じられます。悩みの内容は、自分と重ね合わせられるようなよくある悩みにします。例えば、周りのことばかり気にしてしまい、自分の意見が言えず友達を怒らせてしまうなど、具体的なエピソードを使用し感情移入できるようにします。現実世界を舞台すると、嫌な思い出がフラッシュバックしてしまう可能性がある為、舞台は宇宙にしました。
 悩みを聞き終わると、カウンセリングが始まります。(図7)カウンセリングでは、相手の言葉を良い言葉に言い換えてあげます。例えば、気が弱くて…と言われたら 君は優しいんだね と別の意味で肯定します。自分の嫌いな部分の、良い見方を教えてあげることで、そんな考え方もあるんだ、と自分を肯定できるようになっていきます。
 カウンセリングに成功すると、キャラクターが「ありがとう、あなたのおかげで私の良い部分を見つけられた!」と感謝をしてくれます。カウンセリングに成功することにより「達成経験」ができ、具体的に感謝をされることにより「言語的説得・承認」がクリアできます。カウンセリングが成功すると、キャラクターは宇宙の旅についてきてくれます。本編とは別のシステムとして、ゲームを開くとついてきてくれたキャラクターが話を聞いてくれます。日常で嫌なことがあっても手軽に聞いてもらえるため「カウンセリングは敷居が高い」という問題点をクリアすることができます。
 ターゲットは、自分でどうすることもできない、環境や心の悩みを持つ10代〜20代の若者です。
 最後にこのゲームについてのまとめです。大枠のゲームシステムに自己肯定感を上げる4つの体験を入れることができたので、この部分は膨らませていきつつ「短い時間でキャラクターへ感情移入」「成功体験の薄さ」の2点を解決し心に寄り添うゲームの開発を進めていきます。

※図4 ゲームのフローチャート

※図5キャラクター例
キャラクターは、頭身は低く、全体的に丸く守ってあげたいと思うデザインに。

※図6 プレイ画面
宇宙船に来たキャラクターの話を聞く。

※図7 カウンセリング画面
3つの選択肢から、自分の考えを選んで進めていく。

三富 瑠音

好きな授業
私が好きな授業は、「企画表現演習4」です。この授業は、プレゼンテーションを学ぶ授業です。自分の考えた100%のモノを、200%にして伝える技を伝授してもらえます。自分の考えたモノじゃなくて、好きなモノを布教するにも役立ちますよ!最強!

学部を振り返って
この学部に入ってよかった。と心から思います。振り返ると忙しくて大変で辛いことばっかりだったけど、「あ〜本当にこの学部に入ってよかった〜」に行き着きます。人として成長できた4年間でした。もう一周あったら生活デザインの分野やりたいなあ。

学部で身につけた力
企画力、創造力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション力等々、社会に通用する力が身に付いたな。と思います。全く関係ないですが、プロフィール画像は「自己肯定感高そうな私の似顔絵描いて!」と母に依頼して描いてもらったモノです。