ボランティアと私

4年間の学生生活の中で取り組んだ、それぞれのボランティア活動

2020/02/25 公開

明星大学

 他大学に先駆けて2008年度にボランティアセンターを立ち上げ、今や年間1,000人(団体所属約600人/個人活動約400人)の規模でボランティア活動が行われている明星大学。学生一人ひとりがそれぞれの意味や目的、想いを持ちながら「教育」、「高齢者」、「防犯」、「災害復興」、「子ども支援」、「環境保全」と多種の分野に渡り、多摩地区をはじめとした様々な地域で活動している。

 2020年1月24日(金)には、ボランティアセンター主催で、「2019年度明星大学学生ボランティア活動報告&地域交流会」が行われた。この記事では、4年生がボランティアを通じて得た気づきや学びを語る様子に密着した。

年間1,000人規模でボランティア活動を行う明星大学

 明星大学ボランティアセンターは、知識・技術・人材を活用し、学内外から要請される福祉、教育、環境などのニーズにボランティア精神で応えるべく、社会貢献を目的に2008年に設立された。

 ボランティア募集の情報提供だけでなく、ボランティアを始めたいがどうしたら良いか分からない、ボランティアサークルの探し方を知りたいという学生が気軽に相談でき、かつ活動中の学生の悩みを聞く場所でもある。

 今回の報告会では、ボランティアセンターの勤労奨学生で音楽ボランティアサークル「Freedom music」所属の品川七海さん、渕脇杏実さん(いずれも教育学部 教育学科 音楽コース 1年生)が司会を務め、4年生に向けて様々な質問を投げかけた。

なぜボランティアを始めたのか?

 「教育学部に所属していて、子供と触れ合う経験をもっと積みたかった」 「先輩がボランティアサークルについてとても楽しそうに説明されていて興味を持った」 など、意外にも「ボランティアをしたくて始めた」というよりは、誰かに薦められたり、何かの目的を達成するために始めてみた結果、とても良かったという意見が多かった。

 特に印象的だったのが、「初等教育研究会どろんこの会」52代目会長の鈴木智也さん(教育学部 教育学科 社会コース 4年生)だ。「実はなんとなく始めたっていうのが本当のところです。もともとは、漠然と高校の先生になりたいと思っていましたが、小学校の先生をすることになりました。ボランティアを始める前は子供があまり好きではなくて。だけど、『どろんこの会』を通して、色々な地域の子どもたちと関わり成長も見守れて、そして自分自身も成長できた」

ボランティアは、「子供の成長から自分自身を見つめ直すきっかけをくれる場所」

 へき地教育研究部の代表を務めた日下裕太郎さん(教育学部 教育学科 特支教員コース 4年生)は、「当研究部は夏季休暇、春季休暇を使い、全国の僻地校を回っています。その中で子供たちと出会い、ひとりひとりと向き合うこことができ、本当にいろいろな経験をさせていただきました」と話していた。

 ほかにも「やっていて一番良かったのは私自身が変われたことです。今まではルールに縛られて、ルールを守るだけの生き方をしていましたが、SEASONでボランティアを始めてから、ルールをゆるめながら柔軟に楽しく過ごせるようになりました。」といった声も。

 子供の成長から自分を見つめ直すきっかけを持てたという感想を語る学生が多かったのが印象的だった。ボランティアを通して長い時間、子供と関わることは、学生にとってかけがえのない体験なのかもしれない。

団体の魅力

 ボランティアサークルには、それぞれ特色がある。4年生がそれぞれのサークルの魅力を思い思いに語ってくれた。

「初等教育研究会どろんこの会」鈴木 智也さん(教育学部 教育学科 社会コース 4年生)

 「どろんこの会は、明星大学で一番大きなサークルです。府中市、世田谷区、多摩市、日野市など15箇所の拠点で活動しています。子どもたちは地域によって特色があり、めざましい成長を間近で見れるのが一番の魅力です。また、4年間という長い時間を一緒に過ごせるのも格別です。」

「初等教育研究会どろんこの会」活動のようす

「初等教育研究会どろんこの会」活動のようす

「SEASON(シーズン)」沖本 実優さん(教育学部 教育学科 子ども臨床コース 4年生)

 「幼稚園や子供会、スポーツ教室、児童館など様々な活動があるのが魅力だと思います。それぞれ違った特徴があり、年間を通して同じ子どもたちと関係を作れるので、変化を間近で感じることができます。私は主に児童館で活動していましたが、児童館を歩いていると向こうから声をかけてくれたりして嬉しかったです。あとは、なにより所属している学生の仲が良いですね。スキーやキャンプに行ったり、社会人ボランティアの方とも交流があります。そこが他にはない特色かな。」

「SEASON(シーズン)」冬のスキー教室。スキーができるようになるまで子どもと向き合う!一緒に滑るスキーはとても楽しいです!

「へき地教育研究部」藤田 紗弥さん(教育学部 教育学科 小学校教員コース 4年生)

 「日本各地のへき地に行くので、その土地土地によって異なる子どもたちの様子、地域の様子、学校の特色を知れます。そこで研究したことが、教育実習や教員試験に活きるのも魅力の一つです。」

「へき地教育研究部」活動のようす

“社会とつながる”からこそ、楽しいことも辛いこともたくさんある

 ボランティアでは、学生同士だけでなく地域、行政など、社会との接点を持つ。社会にはさまざまな考えを持った人がいる。ときには、摩擦が生まれることもあるだろう。心理的被災地支援活動を行う「虹色の薔薇の会」の土坂 晃生さん(経済学部 経済学科 4年生)は、「これからボランティアをする中で、もしかしたら楽しいこと以上に、辛いことやしんどいことがあるかもしれません。そういう時でも、他のメンバーと話し合い、助け合っていきましょう。自分たちで決めたことなら、それが全部正解だと思うので。これからがんばっていってください。」と後輩たちにエールを送った。

 ボランティアを通して、社会の楽しさや厳しさを知り、一回りも二周りも成長したたくましい学生たちの姿がそこにあった。

明星大学ボランティア団体 (2020年2月現在)

団体名(登録順) 創設年 主 な 活 動 内 容
1 教育研究部 1966 子ども会の内容を部員で企画し、より子どもたちに喜んでもらえる会を目指しています。一人一人に役割が与えられるので、将来役立つこと間違いなし!
2 初等教育研究会 どろんこの会 1964 全15カ所の文化センターや児童館などと協力して子どもを楽しませ、自分たちも楽しめる活動をたくさん行っています。学生交流のイベントも行っています。Twitter⇒@doronko_meisei
3 SMILY (スマイリー) 2006 主に発達障がいの子どもたちとふれあい、学び合うことを目的としています。毎週金にミーティングを行い、土日に活動しています。子どもたち・学生・保護者みんな笑顔で活動しています。
4 ひまわり 2008 七生福祉園低学年寮の子どもたちと、学生の考えた遊びを一緒に行います。
5 へき地教育研究部 1969 夏休み・春休みを利用して、約一週間全国各地にある小規模の幼・小・中学校を訪問し、先生方・子どもたち・地域の方と交流を行います。
6 Star Shops Supporters (スターショップサポーターズ) 2009 12号館カフェ「Star☆Shops」での販売のお手伝いを中心に、大学と地域を結ぶ"サポーター"として 学内外のイベントへの参加、企画運営を行っています。
7 防犯ボランティア隊 MCAT (エムキャット) 2010 主に授業の空き時間に、見回りパトロール・児童の下校サポートなどを行っています。また地域の警察との防犯・交通安全活動や、市役所や児童館などと連携して、地域のお祭り・イベントにも参加をしています。
8 Rainbow Sign (レインボーサイン) 2009 大学内唯一の手話サークルです!挨拶や自己紹介などの日常会話を中心に、実際に使える手話をレクリエーション等を通して楽しく学んでいます。大学近隣の方々と手話を使って笑顔でつながっています。
9 Merci (メルシー) 2011 福祉実践学科一期生の「一期生として何かしたい」という思いから作られたサークルです。障がい、高齢者等の幅広い分野で活動しています。
10 減災プロジェクト Fine (ファイン) 2013 「東日本大震災から学び生かす」をテーマに、減災・防災について考えています。明星大学や周辺地域の減災・防災活動を行うほか、実際に被災地を訪れる活動もしています。
11 虹色の薔薇の会 2014 主な活動は夏休みに一週間ほど岩手県田野畑村を訪問し行う、心理的被災地支援活動です。子供たちと遊んだり、地域の方々とアロマキャンドル作りなどの様々な企画を通して交流します!
12 SEASON (シーズン) 2015 子ども会や自然学校、児童館、スポーツ教室、夏キャンプ、冬スキーなど、リーダーとして活動に参加します。ひの社会教育センター、みなみだいら児童館ぷらねっとでの通年活動です。
13 ダブルダッチサークル Shakin Key !! (シェイキン キー) 2013 普段は大会やイベントに向けての練習が中心ですが、沢山の人達にダブルダッチを楽しんでもらえるよう、小学校や地域のお祭りなどでパフォーマンスの披露や体験会などを行っています。
14 自転車競技部 1996 「自転車競技×ボランティア」競技部だからこそできる目線で、事故防止や競技の普及活動を行っています。自転車競技の魅力を沢山の人に伝えたいです。
15 Freedom music (フリーダムミュージック) 2017 子供からお年寄りまで誰もが楽しめる音楽をパフォーマンスも含めボランティアとしておとどけしています。地域の行事をはじめ、ボランティア活動、依頼演奏、訪問演奏などに積極的に取り組んでいます。