究極のチームスポーツ「ダブルダッチ」—学友会ダブルダッチ同好会「Shakin key!!」

究極のチームスポーツ「ダブルダッチ」

学友会ダブルダッチ同好会「Shakin key!!」

2019/06/25 公開

明星大学

 ダブルダッチという競技をご存じだろうか?ダブルダッチを簡単に紹介すると、2本のロープを使って行うなわとびだ。三人以上で行う競技で、二人が向かい合って左右の手でロープを交互に回す。その中を跳ぶのだが、単純にジャンプするだけでなくアクロバティックな跳び方や、跳び手が入れ替わりながら競技を行うのが特徴だ。

 明星大学のダブルダッチのチーム『Shakin key!!(シェイキンキー!!)』は、活動を開始して6年目、2018年に愛好会から同好会へ昇格した。『Shakin key!!』というチーム名の由来は、立ち上げメンバーの頭文字を組み合わせており、2つついている『!!』は、当時のマネージャーの人数を表している。『見ている人たちの心を揺さぶるような演技をしよう』との思いが込められている。今回は、『Shakin key!!』の代表小山さんからダブルダッチや『Shakin key!!』の魅力などについて話を聞いた。

ダブルダッチについて

 ダブルダッチは、大きく4種類の競技に分かれている。規定競技、スピード競技、フリースタイル、フュージョンがあり、『Shakin key!!』では、主にフュージョンに取り組んでいる。フュージョンというのは、単純にロープを使って競技をするのではなく、音楽に合わせて行う競技。時間は3分間で、ターナーとジャンパーが入れ替わりながら競技を行う。ダンスやアクロバットなどの要素も取り入れられており、各チームのスタイルもさまざまでとても見応えのある競技だ。チームの人数に制限がないのも特徴である。  

初心者から全国大会へ

 上記の様にチームに分かれて行う競技なので、『Shakin key!!』の中にもいくつかチームがあり、それぞれのチームで大会などに出場する。このチーム編成が『Shakin key!!』の特徴とも言える。他大学では、大会毎にチーム編成を行うこともある中、縦割りではなく、学年毎にチームを編成し、引退まで同じチームで活動を行う。現在は、1年生は4人・4人の2チーム、2年生は、4人・4人・3人の3チーム、3年生が5人・4人・3人の3チームという編成で、全て男女混合チームだ。
 入部してくるメンバーはダブルダッチについては、初心者がほとんどだ。小山さん自身、高校時代はバスケットに打ち込んでいて、大学ではどの団体に入部するか迷っていたが、入学式で『Shakin key!!』の先輩達が披露するパフォーマンスに魅了され入部を決めたそうだ。大学から始めたメンバーが大半の彼らだが、近年すばらしい成績を収めている。昨年の夏の大会では、1つのチームが全国大会に出場、今年冬の大会では、全国9位に入り世界大会に出場したチームもある。

地域のイベントにも参加

 彼らの活動のもう一つの特筆すべき点は、ボランティアや地域活動への積極的な参加だ。「きっかけは、設立2年目の先輩たちでした。同好会にするという目標を立て、地域に貢献できる活動も始めたのです。学校からの依頼もありボランティアも積極的に行いました。部員には教育学部の学生も多いので、小学生向けのイベントも多く行い、小学校の課外授業としてダブルダッチの指導を行うこともありました。」と小山さん。
 「卒業した先輩の依頼で、昭島市のイベントで小学生対象にダブルダッチの体験会を行った時は、とても達成感を感じました。パフォーマンスを見せて、実際にやってもらう。参加した約30名の小学生の学年がバラバラだったので、指導する側としては難しい部分もあったけれど、子ども達が「楽しい」と言ってくれたことは何より嬉しかったです。」。
 大会と被らず、参加できる学生がいれば、こういったイベントは断らずに参加している。地域貢献というだけではなく、ダブルダッチ自体の裾野を広げたいという思いが大きいという。

チームを続ける難しさ

 『Shakin key!!』の大きな特徴は、先に述べたように入学時から引退まで同じチームで活動する点にある。1チーム3~5名。引退までの約3年間、常に楽しく前向きに活動できるばかりでないことは容易に想像できる。小山さん達の学年も数人のメンバーが辞めることになり、チームを再編せざるを得ない時期もあったという。話し合いだけで練習時間を終えるチームもいくつもあった。雰囲気の良いチームがちょっとしたことでバランスを崩す場面も見てきた。
 代表になった後の小山さんは、途中で辞めずに続けて欲しい、乗り越えて欲しいという思いから、なるべく後輩たちのチームを気にかけた。人間関係が上手くいっていないと感じたらチーム練習の中に入って様子をうかがう、個別で食事に行って話を聞くなど、メンバーのケアに心を砕いた。だからこそ、数々の難所を乗り越えて迎えた今は感慨深いものがあるという。

縄を伝って伝わる思いがある

 ダブルダッチは2本のロープさえあれば誰でも楽しめる競技だが、『究極のチームスポーツ』だと小山さんは言う。跳ぶことは、比較的誰でもできるが、縄を回すことは、相当な練習が必要になる。全体で行う基礎練習では、縄を回す基礎練習を徹底的に行う。この練習があって初めて跳ぶ側も信頼して縄の中に飛び込める。基礎練習から実際のパフォーマンスまで団結力が試される競技なのだ。練習についても、メンバーが揃わないことには、行うことさえままならない。
 チーム内での得手不得手も如実に表れ、失敗を人のせいにしたくなる場面も多い。簡単に険悪なムードになってしまいがちだ。「それを乗り越えると、縄を伝って相手の様子が伝わってきます。縄を伝って感情が伝わってくる。今日は、機嫌が悪いなとか。この関係は強いなと思う。これを経験していれば他のどんなことでも乗り越えられると思う。家族より長くチームのメンバーといましたから。」と小山さんは笑顔で語ってくれた。
 彼ら現4年生は、2018年11月に開催された星友祭(学園祭)でのパフォーマンスを最後に、チームを解散、同好会を引退した。「最後はみんな泣いていましたね」と小山さん。もちろん彼自身も。一緒に苦労を乗り越えてきた仲間、途中流した涙は辛いものだったかもしれないが、最後の涙はやりきった満足や楽しかった思い出など、いろいろな思いが詰まった嬉し涙だったに違いない。