来場者3,000人超!明星大学のオープンキャンパスを支える学生スタッフ「勤労奨学生」草野雅さんにインタビュー

2019/09/27 公開

明星大学

 来場者3,000人を超える明星大学のオープンキャンパス。その運営に欠かせないのが学生スタッフである「勤労奨学生」の存在だ。事前準備、当日の各種イベント・ツアー、誘導案内等々を担う学生スタッフは総勢200名に及ぶ。その大所帯となる学生スタッフをまとめているのが、アドミッションセンター所属の勤労奨学生である草野 雅(くさの みやび)さん(経済学部 経済学科 3年生)。本記事では草野さんへのインタビューを通し、明星大学の勤労奨学生の活躍と、オープンキャンパスの舞台裏を伝える。

来場者数3,000人を超える人気のオープンキャンパス

 明星大学のオープンキャンパスは、受験生・保護者からも評判の高い人気イベントだ。2019年8月末に開催したオープンキャンパスでは、過去最高となる3,747人が来場した。そして、このオープンキャンパスを支えているのが「勤労奨学生」だ。「勤労奨学生」とは、返済不要の給付型奨学金「勤労奨学金制度」を受けている学生のことを指す。大学が定める資格条件を満たし、選考に通過する必要がある。決められた時間で学内の業務を行い、その対価として奨学金に相当する報酬を得ることができる。

 オープンキャンパスで実施される各学科の説明などは教職員が行うが、その他の企画や当日の運営の多くを学生スタッフが担っている。オープンキャンパスで出た課題は、すぐさま次回のオープンキャンパスに反省点として活かされる。

「勤労奨学生」になろうと思ったきっかけ

 一般入試の合格者を対象とした説明会の時に対応した先輩がまさに「勤労奨学生」だった。右も左も分からない状態で不安の中、寮や学生生活、部活について親切に教えてくれた。「この人みたいになりたい」とその時思ったのが、「勤労奨学生」になるきっかけだった。

 オープンキャンパス業務では、てきぱきと指示を出し統括する先輩に出会った。いつかは「自分もこんな統括を目指したい」と思ったそうだ。ひとえにオープンキャンパスといっても、来場者を誘導する外部誘導・内部誘導係、ツアーを担当するキャンパスツアー係、食堂に来場する人を整理する食堂係など、その業務内容は多岐にわたる。

 これらのさまざまな業務を経験し、3年生で憧れの統括に立候補した。現在では、オープンキャンパスの学生スタッフ200名近くをまとめている。しかし、統括の仕事は傍から見ているのと実際にやってみるのではまるで違う。そこにはさまざまな苦労があったようだ。

 明星大学では、昨年度まで予約なしでオープンキャンパスに参加できたが、今年度からは事前の予約が必要になった。このシステムが上手く来場者に行き届いておらず、受付が混雑してしまったそうだ。もっと早く他の係から増員する指示を出せていれば、と草野さんは悔しさを交えながら当時を振り返る。オープンキャンパスは、天候が悪くなる、近くの学校で別のオープンキャンパスが開催されるなど、外的要因で人の流れは急変する。それにどう対処するかが重要だという。

企画から運営まで。学生がゼロから手掛ける

 オープンキャンパスには、学生ならではのユニークな企画が並ぶ。例えば、大学生の一週間を記録した「7days」。これを見れば、明星大学に通う学生がどんな授業を受けていて、休みの日に何をしているかが分かる。ただ、平均値を集計しているのではなく、「勤労奨学生」「長距離通学の学生」、「部活に打ち込む学生」、「一人暮らしの学生」などケースごとにまとめていて、具体的で分かりやすい。

 また、この他にも“明星大学により多くの女子学生を呼び込みたい”という課題からヒントを得て生まれた企画もある。それが「mei-mei明星女子企画」だ。女子学生に『大学生の時に知りたかったこと』をアンケートで集計し、服装やスナップ写真と合わせてパネルにまとめている。

「来場者の方に満足してもらう」を基準に考える

 200人を動かすのは並大抵なことではない。そこにはさまざまな工夫や苦労がある。オープンキャンパス当日は、スタッフの動きを全て見るわけにはいかない。そこで、各係のリーダーと常に連携を取り、問題が起こったらすぐに連絡してもらう体勢を構築している。業務に慣れておらず、主体的に動けない学生スタッフは、経験者の上級生とペアにし業務にあたってもらう。

 これだけスタッフが多ければ、意見をまとめるのもそう容易ではない。草野さんいわく、「来場者の方に満足してもらう」ことを基準に考えるそうだ。以前、反省会で撤収作業の効率が悪いという意見があがったという。今までは、一度みんなに集合してもらい、指示を出してから各担当の場所に戻り撤収作業をしてもらうが、これだと行き来の回数が増えるのだ。しかし、撤収作業は残っているお客さんに早く帰って欲しいという空気を作り出してしまい、本来の「来場者の方に満足してもらう」という趣旨から外れてしまう。明確な目的を置き、そこを基準に考えることでチームのまとまりを作ることができるのだ。

統括という経験を通して得たこと

 統括という仕事は、とても大変なことも多かったと思う。実際、その経験からどのようなことを得られたのだろうか?草野さんはこう語る。「統括という経験を通して、臨機応変かつ素早く指示を出すことを学べました。入学する前は人見知りでした。昔は人前で話せなかったのに、オープンキャンパスの統括になって、積極的に自分の意見を言えるようになりました。また、みんなを説得するために冷静に指示を出すこと、言葉の選び方も身につけることができました」

 最後に、草野さんに今後オープンキャンパスでやっていきたいこと、課題について聞いてみた。「今、ちょうどオープンキャンパスは仕組みを変えている時期です。次回のミニオープンキャンパスである11月3日まで期間がないので、できる限り、下の世代に教え伝えていくことが私にできる最後の務めと思っています。明星大学を好きになってもらうという思いを受け継ぐ次期リーダー達にどうチームを作っていくかを教え、見守りたいと思います。」

 オープンキャンパスの統括をした草野さんは、とても天真爛漫な印象だが、非常に冷静で信念を持った熱い心を感じられた。やはり、どのような場面でも、熱い心は多くの人の心に伝播し、人を動かすと思う。今後、草野さんがこの経験をもって、社会でどのような活躍を果たすのか楽しみだ。