世界ジュニア選手権に出場!露木涼選手にインタビュー

明星大学男子ハンドボール部

2019/09/23 公開

明星大学

 ドイツ、デンマークが発祥のスポーツ、「ハンドボール」。”空中の格闘技”とも言われる激しいスポーツで、キーパー1名、フィールドが6名の計7名で行われる。2020年東京オリンピックにはハンドボール日本代表の出場も決まっており、近年注目が高まっている。今回はU-21(世界ジュニア選手権)へ選出された期待の新人、露木 涼選手(明星大学経済学部経済学科1年)にハンドボール競技の魅力や明星大学ハンドボール部での活動、今後の展望について話を聞いた。

ハンドボールとはどんな競技?

 ハンドボールは、キーパー1名、フィールドが6名の合計7名でプレーするスポーツだ。ラグビーのようにコンタクトプレーもあり、俊敏なパスプレーなど空中での攻防も多く、「空中の格闘技」という異名もついている。

 ハンドボールではシュートを打ち込めていない消極的なプレーに対し、「パッシブプレー」というファールがつく。これは、審判の主観で決められ、パッシブプレーと認められると、6回以内にシュートを決めなければならない。つまり、非常にめまぐるしく試合が展開することになる。ただハードなだけではなく、戦術を駆使しゲームメイキングしながらプレーする、チームワークや頭脳も必要になるのだ。

ハンドボール歴3年で男子ジュニア(U-21)に抜擢

 露木選手がハンドボールを始めたのは、高校生の頃。友人に誘われたのがきっかけだったそうだ。走りこみながらボールを思いっきり投げてゴールを入れることに楽しさを感じ、徐々にハンドボールに惹かれたと語ってくれた。

 U-21への選出はまさに突然、“青天の霹靂”だったと露木選手は振り返る。U-21とは、日本ハンドボール協会によって編成される21歳以下のハンドボールの男子ナショナルチームだ。露木選手は、このチームに、わずかハンドボール歴3年、高校3年生(飛び級)の時に電話で代表入りの連絡を受けたという。はたして自分が踏み込んでも良いステージなのか悩んだそうだ。しかし、両親に「こんなチャンスはなかなかない。その程度の心構えなら競技はやめたほうが良い」と叱咤激励され、最高峰の舞台に足を踏み入れる。

 日本代表のトレーニングは、トップレベル競技者専用のトレーニング施設「ナショナルトレーニングセンター」で行われる。ベテランの専門スタッフを始め、日本トップクラスの技術指導・設備が揃う。そばにいるのは皆、強豪校で幾多の試合をくぐり抜けてきた強者ばかりだ。その環境にとまどいながらも、U-21の他の選手と強化合宿で親睦を深め、レベルを高めていったと露木選手は話してくれた。

命がある限り、心が折れない限り挑戦できる

 露木選手を突き動かすその原動力はどこにあるのだろうか。それは、ただ強くなりたい、そして常に挑戦し続けるという純粋な気持ちから来ているように感じる。「命がある限り、心が折れない限り挑戦できる。」これは、露木選手が大切にしている言葉だ。この言葉はU-21のトレーニングの際、メディカルサポートをしているトレーナーの方に教えてもらったもので、今も大切にしているそうだ。

 ただ、常に挑戦し続けられるときばかりではない。日々のトレーニングが辛いと思うときもある。そんなときは辛い練習の先に待っている楽しいことを考えるようにしていると露木選手は語る。トレーニングを終えた後の日常も大事にするからこそ、ストイックなトレーニングに打ち込むことができる。

ハンドボールの魅力

 2020年東京オリンピックによって、テレビなど各メディアでもハンドボール特集が組まれるようになり、注目が高まっている。「ルールもシンプルなので、一度覚えたら誰でも分かります。コンタクトありの迫力満点のプレーはもちろん、どうチームで連携して点を入れるかという駆け引きも見どころです。また、部井久アダム選手が放つロングシュート、杉岡選手のちょんまげループといった技もぜひ見てもらいたいです。」と見どころを語ってくれた。

 とはいえ、バスケットボールやサッカーといったスポーツに比べると、ハンドボールの知名度はまだまだ低い。実は日本では、バスケットボールやサッカーのようにハンドボール用のコートやゴールが設置されている施設が少ない。また、滑り止めのために、松ヤニや両面テープが必要になるため、一般の方が気軽にプレーできない現状がある。もっと、ハンドボールが認知され、環境が整備されて競技人口が増えてくれればと、露木選手は期待を口にした。

今後の目標

 「個人の目標は、再びU-21に選ばれて、アジア選手権と世界選手権に出場すること、そして明星大学ハンドボール部での目標は一部リーグに昇格することです」と、今後の目標を教えてくれた。目下の個人の課題は体重を増やすことだそうだ。コンタクトが多いハンドボールにおいて当たり負けしないことが何より重要だ。特に、海外の選手は生まれつき身長も高く体格も良い。少しでもハンディキャップを埋めていきたいと語る。

 「明星大学ハンドボール部は、とにかくチームメイトの仲が良い。さらに濃密な練習をしていき、個々のフィジカル面や体力面、メンタル面を伸ばせていけば、一部リーグ突破も夢ではない」と露木さん。

 若き期待の選手が、再び世界へ行き、明星大学ハンドボール部、さらには日本のハンドボール競技の地位を高めてくれる日は、そう遠くないかもしれない。今後の活躍に期待したい。