活躍する卒業生へインタビュー ーチアリーディングサークル『Miracle☆Stars』初代キャプテン

活躍する卒業生へインタビュー

チアリーディングサークル『Miracle☆Stars』初代キャプテン

2019/05/27 公開

明星大学

 今回は、卒業生へのインタビューとして、在学中に、チアリーディングサークル『Miracle☆Stars』の立ち上げなどで活躍した岩瀬千菜美さんの話を聞いた。
 岩瀬さんは、現在社会人3年目。食品専門商社に勤めており、営業のサポート業務に携わっている。
 就職活動に際しては、明星大学キャリアセンターが提携している、外部の就職講座に通って、自分自身と向き合った。様々な企業の中から現在の勤め先に決定した一番の理由は、職場の雰囲気が自分に合っていると感じたことだそうだ。入社した後も、社内の風通しがよく、上下関係にとらわれず、コミュニケーションがとりやすい職場で充実した日々を過ごしている。

社会に出て気付いたこと・喜び

 入社後、思い出に残っているエピソードを尋ねたところ、2つの話を聞くことができた。
 1つは、入社間もない頃の話だ。入社直後、支店に配属された岩瀬さんは、アルバイトやパートの方と関わることが多く、新入社員でも、自分より長く勤めている人を指導していかなければいけない立場にあった。葛藤を抱えながらの2年間を過ごした結果、最終的には自分について来てくれる人が大勢いることを実感したという。その理由を尋ねると、「上からものを言うのではなく、相手と同じ立場に立って相手のことを考えていたからでしょうか」と、笑顔で答えてくれた。今でも支店のメンバーからは信頼され、色々な相談を受ける関係が続いているそうだ。
 2つ目のエピソードは、本社で顧客からの相談に対応したときのことだ。営業時間外での相談ではあったが、緊急の様子だったので、問題が解決するまで対応しようと心に決め、そのとき自分にできることを親身になって考えて実行した。結果として問題は解決でき、その顧客からは、会社の上層部にまでお礼のメールが届くなど、社内外から高く評価された。自分の中では当たり前だと思って取った行動が評価されたことが嬉しかったと語ってくれた。

相手の立場に立って考える

 話を聞いていく中で、先の2つのエピソードは、学生時代に彼女が関わってきた、チアリーディングに対する考え方や、イチからサークルを立ち上げ、キャプテンを務めてきたことに原点があるように思えた。岩瀬さんは、高校時代からチアリーディングを始め、トップという、人の上に乗って演技を行うポジションを務めていた。チアリーディングは人が人を持ち上げたり、時には高く飛ばしたりすることがある競技。下で演技する人の負担も大きい。自分だけ完璧にできれば、完成するというものではない。
 お互いが信頼関係を築き、気持ちよく演技をする為には何が大切かを、メンバー全員が一つになって考えなくてはならない競技なのだ。

3人のメンバーではじめた『Miracle☆Stars』

 明星大学でチアリーディングサークルを立ち上げることになったのは、偶然からだった。別の目的で行った学生サポートセンターの窓口で、野球部の応援などでチアリーディングの活動があるのかを尋ねたところ、チアリーディングは存在しないとの返答を受けた。入部したいと考えていた岩瀬さんは、職員の「今はないけれど、作ってみる?」との提案に、「作りたいです。」と即答した。
 そこから部員募集を開始したが、集まったのは彼女を含めて3人。初心者も含まれていた。最初の目標を野球部の応援と決めて、振り付けや音楽なども自分たちで考えた。他大学の野球部は、チアリーディングの競技大会に出ているようなチームが応援している中、3人というチームは他にはない。時には2人で応援する時もあった。高校時代の仲間に声をかけて、手伝ってもらうこともあったそうだ。そのような状態で、なんとか1年間乗り切った。「野球部の人たちにとっても、応援が自分たちで良いのか?と思うこともありました。」と振り返る。その中でも、「ありがとう」と声をかけてくれる人もいたことが嬉しかった。

チアリーディングを通して伝えたかったこと

 そんなスタートを切った『Miracle☆Stars』だが、2年生の春に改めて部員募集を行い、10人ほどのチームになった。大学からチアを始めることは、勇気がいる。ましてや3人しかいないチームだ。入学式の演技でも、すごい演技をみて、『私もやってみたい』と思わせるほどのレベルには到達できなかった。「メンバーを増やすのに一番苦労しました。」と岩瀬さん。それでもメンバーには、人前で演技をする楽しさや、演技が成功した時、人に喜んでもらえた時の喜びを知ってほしかった。『野球部の応援』に続く目標は、『人に見てもらえる環境を増やす』になった。結果として、入学式だけでなく学内では、星友祭(学園祭)、オープンキャンパス、出陣式(就職活動に向けての壮行会)など、学外では地域のイベント、プロバスケットボールの試合のハーフタイムショーにも参加した。ゼロからイチを作ることは容易ではないが、彼女の熱意がメンバーに少しずつ浸透していった。

4年間で一つになったチーム

 岩瀬さんは4年生までメンバーとしてチームに参加し、卒業時にはようやく本来のチアリーディングができるまでになった。初心者からスタートしたメンバーに、『チアが好きになりました。』と言ってもらえたことが一番嬉しかったと岩瀬さん。
 彼女がキャプテンとして心がけていたことは、「常に、周りの様子を見ることのできる人になること」。顔色ひとつで相手のことを考えられる人になりたいと考えていた。「メンバーの体調やメンタルの調子に、敏感に気がつける人になろうとしました。相手の立場に立って考えることができるキャプテンになりたかったんです。」大学4年間で貫いた姿勢が、社会人になった今でも当たり前のものとして岩瀬さんの中にできあがっているからこそ、会社での2つのエピソードに繋がったのだと感じた。

明星大学の卒業生として

 岩瀬さんへのインタビューを通して感じたことは、しなやかでありながら、一本芯の通った女性だということだった。ゼロからイチを創り上げた時も、創部してからも、岩瀬さんには、苦労の中でも、常に大切にしようとしている信念があった。その想いが、多くの人に伝わり、周りを巻き込む大きな力となっていった。人を惹きつける魅力は、一朝一夕に作られたものではなく、岩瀬さんが、彼女の人生において、常に自分の想いと真摯に向き合ってきたからこそ得られた魅力なのかもしれない。「チアのメンバーとは今でもよく会います。明星大学で過ごせたことは本当に良かったです」笑顔でそう話す岩瀬さんに、この先どんな新しい未来が待っているのだろうか。まだまだこれからの活躍も楽しみにしたい。