学びの仕掛け満載!明星大学教職課程が生み出す未来の教育者の姿とは?

2018/10/04 公開

 2017年に実施された教員採用試験では、明星大学から新たに188*¹名(2018年3月の卒業生)もの教員が誕生した。ただ合格者が多いだけではなく、明星大学教職課程の指導の手厚さが評判となり、地方の高校からもそれを理由に受験する生徒が増えているという。
 手厚い指導とはどんなものか。教育学部特任教授の深井薫先生と教育学部4年生の山口真由さん、藤井凌さんから話を聞いた。
*¹ 臨時的任用教員や非常勤講師を含む。

なぜ教職課程において手厚い指導が必要なのか

 「明星大学を卒業して教員になる学生には、熱意と使命感を持って教員生活を過ごして欲しい」。教員養成を行う上で、最も重要視していることについて伺った際の深井先生の言葉だ。教育の現場で長年指導をしてきた深井先生は、何よりも人柄が重要だと言う。教員としての資質を高めるため、謙虚に学ぶ姿勢のある人は伸びる。良いモデルも悪いモデルも全て自分の栄養にして学んでほしいと考えている。
 指導には、教員になる覚悟を持ってもらうという目的がある。教員になるためではなく、教員になってから何をするか。生涯教員として勤務していくための力の基礎を備えてほしいという思いで取り組んでいるのだ。

「教員になるという自覚」を促す取組みとは何か?

 明星大学の教職課程には、教員になる自覚を促す様々な取組みがある。それは入学後間もない1年次に教職志望の学生全員を対象に行われる面接から始まる。各学生がどれほどの意識を持って教員を志望しているかを確認する。面接を担当するのは、元校長を中心とした教育現場経験が豊富な7名の相談員の先生方。相談員の先生方が、より良い教員になってもらいたいという思いを伝えることで、何となく教職課程に登録した学生から、絶対に教師になりたい学生まで、面接を通して自覚が高まり始める。
 2年生になると教育学部の学生は、「教育インターンシップ」が始まる。5月~12月の毎週1回、担当になった小中学校に通う。同様の取り組みは他大学でも少しずつ始まってはいるが、必修科目として約400人が一斉に大学を離れて学校現場に入る規模は希だ。
 「初めて現場に行った時はドキドキしたけれど、週に一度子どもたちと関わることができるのは嬉しかった。子どもと関わりながら先生(現職)の授業を毎週見学できる。具体的な指導方法が勉強になった」と山口さん。
 藤井さんは、「1年生では座学が続いたが、現場に入ってみて今の子どもの実情や授業風景を見て、いろいろな子どもがいるなと感じた。子どもの支援と一言に言っても、様々なアプローチが必要であるということを現場で初めて知った。2~3年生の間にそうした様々なことを学んでいく必要があると実感した」と話す。
 明星大学で実施する教育インターンシップにはもう一つの特徴がある。半期に一度、学生だけではなく指導に当たっている大学教員も小中学校を訪問するのだ。学生の様子を観察することに加えて学校現場の教員との意見交換も行う。大学では、学校現場からの声を元に、学生をフォローアップする授業を行う。2年次から現場を体験すると、3・4年次の学びがより深いものになり、さらに、子どもの支援が上手になると深井先生は教えてくれた。インターンシップは2年次で終了するが、その後も引き続きボランティアとして小中学校に関わる学生も少なくない。小中学校の現場からも、長期間を通して学校に関わってくれる明星の学生は大変頼もしいとの声が聞かれている。

思いを文章に!志望動機から教育課題まで4年間の講座

 明星大学の取り組みとしてもう一つ特筆すべきは、1年次から始まる「文章力育成のための国語力講座」から3・4年次の「論作文・面接試験等対策講座」までの大きな流れだ。教師の仕事は、文章や話しことばで指導をすることが多い職種であることもあり、1・2年の内は、論作文の基礎を学ぶ。教職インターンシップでお世話になった学校へのお礼状に始まり、「自分はなぜ教師になりたいのか」という教職志望理由をまとめていく。3・4年に入ってからの論作文・面接試験等対策講座では、一般の論文とは異なり、扱う内容は教育課題についてだ。ただ文章が書けるようになるのではなく、教員を志望する自身の考え方や、教育課題について学びを深めていくことになる。
 藤井さん曰く、論作文の対策は明星大学の講座で学んだもので十分だったとのこと。実際の教員採用試験では、この講座で考えたことを元に試験に臨んだ。論作文を書いたことがなかった山口さんにとっては、書き写すところから始まった講座はスモールステップで、少しずつ理解を深めていくことができたのだそうだ。
 在学中に学び、考えたことは、卒業して学校に勤務してからも役に立つと深井先生は考えている。だからこそ、1年次という早い段階から講座を設けている。

教員採用試験はあくまでもスタートである

 話を聞く中で、明星大学として、教員採用試験に合格することだけが最終的な目標ではないという意思を強く感じた内容があった。それは、教員採用試験が終了したあとのフォローアップに表れている。
 明星大学では、教員採用試験の後、卒業までの間に2つの講座を設けている。学級経営と保護者対応についてだ。これらは、各自治体による赴任前講座の中では開講しているが、大学で学ぶ機会は少ない。しかしながら教育現場では非常に大切な内容であるため、明星では、大学での開設も行っているところである。学級経営については、現場を経験した大学教員から、赴任直後の不安な時期を乗り越えるための計画の立て方などを中心に学ぶことができる。保護者対応については、教員免許更新講習で、現役教師の参加が多い講習をまとめた内容を特別に学ぶことができる。現役教師のニーズが高い分野こそが、現場では必要な内容だ。深井先生が現役教師だったころ、明星大学在学の東京教師養成塾生が少しのアドバイスで様々な現場の問題に対応できることに驚いていたそうだが、その答えはここにあったのだ。
 残念ながら不合格となってしまった学生へのフォローも徹底している。臨時的任用教員や非常勤講師を目指す方法、また、再度学びの場を求める方法など、その学生に今後どのような可能性が残っているかを一緒に考える。
 教員採用試験だけではなく、将来のキャリアステージを作るための活動が、高い採用率に繋がっているのだ。

明星大学が生み出す未来の教育者の姿

 深井先生には、明星大学に着任して嬉しかったことがあるという。学生達に話を聞くと、みんなが、子どもに寄り添った教育をしたいと答えるところだそうだ。学生たちには、子どものことを共感的に理解し、意欲的に勉強してほしいという思いがある。
 「現職で働いていた先生が多く、実際の現場で取り組んだことを授業の中で追体験ができた」という山口さんの感想。「先生方に相談がしやすい環境のため、インターンシップなどで疑問に思ったことを一人で抱え込まなくてすんだ」と語る藤井さん。二人の様子からは、在学中にとどまらず、その先に続く教員としての道筋を示す、教職員の思いが学生へ確実に届いているのだと感じた。
 明星大学がめざす、「生涯にわたって学び続ける力」をつける教育は、一人ひとりに寄り添い熱い思いで指導する大学側の姿勢に、学生たちが惹きつけられ、自らの力を発揮できるようになるという相乗効果なのかもしれない。「教育の明星大学」の本当の意味を、少し実感できた気がした。