2023年3月26日(日)明星大学日野校大学会館にて、2022年度「第52回学位記授与式」が行われ、通信制大学院博士後期課程を修了された方のうち2名、博士前期課程を修了された方のうち10名、学部の正科生で学位(教育学)を取得された方のうち30名が列席されました。
「答辞」では、卒業生代表 井上慶子さん(教育学部教育学科小学校教員コース)より、通信教育課程における学びのなかで「子育てと学習の両立」を成し遂げるまでの大変さや達成感、周囲の方々への感謝の気持ちが語られました。特にご家族とのエピソードは共感を呼び、多くの列席者が感涙しました(井上さんの「答辞」の全文は本記事下部に掲載しておりますのでぜひご覧ください)。
当日は本学吹奏楽団の演奏が華を添え、日曜日ということでご家族の列席もあり和やかな式となりました。
修了生、卒業生のこれからの活躍を祈念しております。
おめでとうございます。
本日は、私たち、令和4年度明星大学通信教育課程卒業生・修了生のために、このような盛大な学位記授与式を挙行していただき、誠にありがとうございます。
ご臨席を賜りました学長の落合一泰先生をはじめ、ご多忙にもかかわらずご出席くださった、諸先生方、並びに大学関係者の皆様に、卒業生一同心より御礼申し上げます。ただいま学長より、心のこもったご祝辞と、激励のお言葉を賜り、身の引き締まる思いでいます。私たちは、置かれた環境も年齢もそれぞれ違いますが、自らの目標を胸に抱いて、明星大学通信教育課程へ入学してまいりました。
私が小学校の教員になろうと決意したのは38歳の時でした。当時、娘は小学校5年生、息子は2年生。子育てや家事、仕事に追われる日々でしたが、教員免許状を取得したいという思いは強く、明星大学の新入生オリエンテーションに参加することに迷いはありませんでした。ただ、その日は子どもの小学校の運動会でした。「お母さんは小学校の先生になるよ。そのための大学の説明会に行かなくてはいけないから、運動会見に行けなくてごめんね」と子どもたちを説得したことを覚えています。そのオリエンテーションで、その後4年間共に学び合うことのできる仲間と出会うことができました。快く行かせてくれた子どもたちには今でも感謝しています。
早速始まった大学生活ですが、4月はやる気に反してレポートをどう書けばいいのか右も左も分からず、一人で課題と向き合う時間が不安で仕方がありませんでした。再び仲間の存在に助けられたのは、1年目の夏期スクーリングでの出会いです。全国から通っていることに驚くとともに、仕事と両立しながら目標に向かう行動力に尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。その夏は、仲間と共に汗を流し、学食でご飯を食べながら他愛もない話で笑い合う、大学生気分を満喫した、まさに青春の1ページです。スクーリング後は、みんなそれぞれの環境で目標に向かって頑張っているのだと思うと、私も頑張らなくてはとレポートに向き合う気持ちを奮い立たせることができました。
ところが2020年、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、対面でのスクーリングが遠隔に変わりました。また会えると信じて疑わなかった仲間とはそれから2年以上会えなくなることになりました。当初、遠隔スクーリングに悲観的だった私ですが、環境の変化にも柔軟に対応し、対面と変わらない学びを届けてくださった先生方の姿勢は、今後の教員生活の指針となるものでした。
4年生になり、コロナ禍が落ち着きをみせ対面でのスクーリングが再開した時は、離れていた時間を感じさせない変わらない関係に安心し、顔を見て話せるという当たり前の幸せに喜びを噛みしめました。
私の大学生活の中で、最も大きな決断であったのは卒業論文への挑戦です。
卒業論文へ挑戦するきっかけをくださった須藤先生、そして、最後まで伴走してくださった卒論指導教員の神林先生にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。須藤先生がスクーリングの最後に仰った「卒業論文に挑戦することは大学生の醍醐味」という一言に背中を押され、「せっかく大学生になったのだから、卒論の大変さも達成感も全て味わってみたい」という好奇心が大きく膨らんでいきました。神林先生には長時間の対面指導を何度も行っていただき、その度に優しく励ましていただきました。また、先生の知識の広さと深さに毎回圧倒される中ご指導いただき、一人では到底到達できなかった論文を書き上げることができました。大きく自分の世界を広げることができたことは、執筆の大変さをはるかに上回る収穫でした。この卒業論文で大学の最後を飾れたことは私の一生涯の誇りです。
本日をもって、明星大学を卒業します。私は4月1日より小学校教員として勤務します。本学で培った知識や体験をこれからも大切にしながら、何歳になっても夢に向かって挑戦できることをこれから出会う子どもたちに胸を張って伝え、支えていく所存です。
最後になりましたが、明星大学が、私たちと同じように様々な夢を持って全国の「学びたい」という志を持つ者にとって、ますます充実・発展されることを願うとともに、学長はじめ諸先生方、そして事務局の皆様方のご健勝とご多幸を祈願いたしまして、答辞とさせていただきます。
令和5年3月26日
卒業生代表 井上 慶子