学部について
現代を支える化学とライフサイエンスを学び、
社会に貢献できる人材へ。
バイオや医療、環境、情報、材料など、現代のさまざまな分野で基礎となっている化学。化学・生命科学コースでは、理工学の基礎知識を学ぶとともに「遺伝子」「タンパク質」「生体触媒」「新物質」「環境」をキーワードにした専門分野の知識と実験技術を習得。実験科目に多く取り組み、生命科学や化学をより深く学びます。
理工学の確かな専門性を持ちつつ、他者と協働して社会や自然界における課題の発見・解決に取り組めるように、
従来の分野専門(4コース)に加えて、幅広い知識やスキルを見につけることができる分野横断的な学びを拡充しました。
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所属コースを2年生で決定できる
フレキシブル入試も導入
1年生の間は、所属コースを決めずに広がる興味に合わせてさまざまな分野を柔軟に学修。2年生への進級時に所属コースを選択できます。
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多様な課題に対応する
SDGsを題材としたカリキュラム
SDGsやDX/GXを中心とした、文理融合型のリベラルアーツ関連の共通科目を拡充。これからの時代に求められるイノベーション思考を養います。
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課題発見や解決に活用する
AI・データサイエンス演習
数学科目からデータサイエンス演習まで体系的に学べるカリキュラム。多様な分野でAIやデータサイエンスを活用できる力を身につけます。
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社会課題に理工学の知識を活かして挑む
課題解決型科目
社会のさまざまな課題にPBL(Project Based Learning)で挑戦。知識とスキルをフル活用し、コミュニケーション能力とイノベーション思考を養います。
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広がる興味に応じて複数の履修が可能
専門プログラム基礎/応用
コース毎の専門教育は、2年生からスタート。前期にコース毎で必要な基礎科目を学修。2年生後期から3年生前期にかけて、専門プログラム基礎/応用を学びます。3年生後期には他コースの専門プログラムも履修可能です。
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600MHz核磁気共鳴装置(NMR)
磁場中に試料を入れラジオ波を照射することで、水素(1H)や炭素(13C)の原子核が共鳴します。それを観測することで、有機化合物のもつ置換基の存在や立体構造、分子同士がどのように接触しているのかといった情報を得ることができます。
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遺伝子組換え実験室
(P2レベル)に設置された
安全キャビネット
遺伝子組換え微生物を安全に取り扱うための設備です。安全キャビネット内で、寒天培地に生育した遺伝子組換え体を観察しています。
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生体分子の結晶観察用実体顕微鏡
タンパク質やタンパク質・DNA複合体はある特別な環境下で時間をかけると、0.1~0.5 mmくらいの結晶に成長します。それを構造解析に向け観察・撮影しています。
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タンパク質自動精製装置
細胞の中で作られたタンパク質やDNAを高純度かつ迅速に精製するための装置です。タンパク質の分離に用いる高性能のカラムを精製装置に取り付けています。
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【1年生】
化学・生命科学の基礎を修得する。
【化学概論】
化学・生命科学が果たす役割を学ぼう
化学は物質を扱うあらゆる分野の基礎であり、現代社会を支える大きな柱です。「化学」がどんな分野を含み、どのような利用へとつながっているのかを学びます。
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【2年生】
化学・生命科学コース基礎科目を中心に学ぶ。
【化学・生命科学実験1】
コース基礎科目で実践力をつけよう
化学、生命科学、環境科学の各分野で必要な実験技術と知識が身に付きます。また、実験レポートの作成を通し、思考力や文章での表現力も鍛えられます。
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【3年生】
化学・生命科学コース応用科目で学びを深める。
【生体触媒化学】
専門的な知識や技術を身につけよう
生物の体内で起こる多くの化学反応を助けるのが、「生体触媒」である酵素。生命科学と化学の視点から、生体触媒で促進される有機化学反応を学びます。
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【4年生】
集大成としてゼミ・卒業研究に取り組む。
【卒業研究】
研究成果を発表しよう
知識と実験技術を駆使し、生命現象の分子レベルでの解明や、新技術・新物質の 開発に取り組みます。1年間の研究を通して、 計画力、実践力、発表力も大きく成長。
材料の設計・特性を学べる「機能性材料」に加え、物性の原理を深く学べる「マテリアルサイエンス」を組み合わせることで、新素材の開発・製造に必要な知識を身につけることができます。
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香川研究室(構造生命科学研究室)
ゲノムDNAの傷を治すしくみに関する研究
香川 亘 教授
【バイオサイエンス領域】
ヒトの「設計図」である遺伝子は、紫外線や放射線などにより日常的に傷つけられています。そうした傷が正確に修復されないことが、発がんや遺伝病の原因となることがわかってきました。香川研究室では、傷ついた遺伝子が正確に修復されるしくみを解明し、発がんや遺伝病の予防・治療に役立つ研究成果を生み出すことをめざしています。
清水研究室(分子生物化学研究室)
ゲノムの基盤構造体ヌクレオソームの構造と機能
清水 光弘 教授
【バイオサイエンス領域】
ヒトをはじめとする真核生物において、ゲノムは「DNA→クロマチン→染色体」といった階層的な構造を形成して細胞核内に収納されている。クロマチン・染色体の基本単位はヌクレオソームと呼ばれ、ヒストン8量体にDNAが巻き付いた複合体である。私の研究室では、出芽酵母をモデル生物として、遺伝学・分子生物学・生化学的手法に加え、次世代シーケンサーを用いて、ヌクレオソームの構造と機能をゲノムワイドで研究している。本研究の成果は、ゲノム機能発現やエピジェネティクスの機構の解明に貢献することが期待される。
須賀研究室(分子細胞生物学研究室)
生命を司る遺伝子の細胞核への収納機構
須賀 則之 准教授
【バイオサイエンス領域】
生物の細胞の核には、生命を司る遺伝子がヌクレオソームとして収納されています。この遺伝子を日々使いながら、生物は生きています。何事にも整理整頓は大事で、この遺伝子の収納がきちんとされないとうまく遺伝子を使えず、病気などになってしまいます。須賀研究室では、この遺伝子の細胞核への収納機構について研究を進めています。
松本研究室(生体触媒化学研究室)
役に立つ有機化合物の様々な作り方を研究
松本 一嗣 教授
【化学と生命科学の融合領域】
右手と左手のように、重ね合わせることのできない鏡像関係にある異性体を「鏡像異性体」といいます。こうした化合物には、医薬品など社会に役立つものが多くあります。松本研究室では、環境にやさしい、生体触媒や有機分子触媒を応用して鏡像異性体の効率的な合成法の開発を行っています。
冨宿研究室(生物機能有機化学研究室)
有用物質合成のための新規酵素の探索と利用
冨宿 賢一 教授
【化学と生命科学の融合領域】
酵素は、生体内の代謝反応において触媒として働くタンパク質です。30℃くらいの温度や水中など穏やかな条件で機能するため、環境にやさしく省エネルギーな物質変換法として期待できます。冨宿研究室では、新しい酵素の触媒能力を自然界から見つけ出し、酵素の性質や機能、構造を明らかにするとともに、有用物質の斬新な物質合成プロセスへと展開する研究に取り組んでいます。
西條研究室(物性化学研究室)
分子を使って磁性体を開発
西條 純一 教授
【錯体化学と物理化学領域】
分子で出来ているのに磁力をもつ物質が、分子性磁性体です。さまざまな置換基を組み込むことで、磁場で伝導性が変わる物質や、ガス吸着で磁性が変わる物質など面白い磁性体をつくることが出来ます。しかし、弱点は、相互作用が弱く低温でしか機能を発揮できないこと。西條研究室では、さまざまな新分子を合成し、相互作用が強い新磁性体の開発を行っています。
田代研究室(生物分析化学研究室)
原子レベルでのタンパク質と薬剤の相互作用解析
田代 充 教授
【化学と生命科学の融合領域】
多くの生体反応に関与している酵素は、タンパク質です。田代研究室では、種々のタンパク質と薬剤などの低分子化合物との分子間の相互作用について、原子レベルで解析しています。試料を磁場の中に入れて、水素や炭素などの原子核の動きを観測し、結合の詳細を解析します。
上本研究室(環境分析化学研究室)
分析化学を駆使した環境保全技術の研究
上本 道久 常勤教授
【環境化学分野】 環境汚染や有害物処理など化学の観点から何がどの程度変化したのかを知るために、元素や物質をはかることは不可欠です。分析化学はその方法をデザインする学問。環境科学に必須の領域といえます。上本研究室では、現在、金属材料中の微量有害元素の定量や現場分析による材料種判定のほか、応用系分野との共同研究や分析法の標準化などに広く取り組んでいます。
宮脇研究室(資源・廃棄物研究室)
廃棄物の処理・処分や循環資源としての有効利用の研究
宮脇 健太郎 教授
【生態・資源分野】 日本では循環型社会をめざして、3R(Reduce:排出抑制、Reuse:再使用、Recycle:再生利用)の取り組みが進められています。しかし、最小限の廃棄物は発生し、処理後に最終処分場に埋め立てています。宮脇研究室では、主に廃棄物のリサイクル・処理・最終処分に関わる有害物質などの問題解決に取り組んでいます。研究テーマは、有害物質除去技術の評価、水処理技術開発、有害物質挙動調査、土壌環境保全、環境安全性評価などです。
吾郷研究室(バイオマテリアル・コロイド研究室)
バイオマテリアルを用いた自然環境保全やリサイクルの技術開発
吾郷 万里子 特任准教授
【環境化学分野】 木質系由来のバイオマスは主にセルロース、ヘミセルロース、リグニン、ポリフェノール類から構成され、地球上で最大のバイオマス資源です。この貴重な資源の有効活用を図るため、新規機能性材料の開発に取り組んでいます。とくにリグニンを原料としたナノファイバーやナノ粒子合成技術に関する基礎研究や、ナノファイバーやナノ粒子を用いた応用研究(スーパーキャパシタ用電極材料の開発やナノ粒子を用いたエマルションの安定化など)を行っています。
岩見研究室(生態工学研究室)
微生物による環境汚染やその浄化のための生態系づくりを研究
岩見 徳雄 准教授
【生態・資源分野】 さまざまな環境の中から有用な微生物を見つけ出し、水環境の改善に役立てる方法を研究しています。現在は、主にダム湖などで起こる有毒シアノバクテリアの大発生を、原生動物や微小後生動物などの捕食作用を利用して防除する方法の開発に取り組んでいます。2016年度からは、里地里山の保全をめざし、谷戸水田を対象にトンボの生態調査も行っています。
柳川研究室(緑地・生態系機能評価研究室)
都市緑地をはじめとする様々な土地被覆における生態系機能およびその評価に関する研究
柳川 亜季 准教授
【地球環境分野】 持続可能な社会および自然環境を形成することをめざして、緑地や生態系の多面的機能とそのデザインの研究に取り組んでいます。国内では、農耕地生態系の多面的機能評価として、農耕地の生物多様性保全機能と農産物の生産機能額のどちらもみたす農地の抽出やその条件の整理などを行っています。また、多摩川河川敷で、土壌昆虫と土壌および植生との関係についてのモニタリング調査を毎月行っています。
■ 中学校教諭一種免許状(理科) | ■ 高等学校教諭一種免許状(理科) |
■ 危険物取扱者〈甲種〉(受験資格) | ■ 毒物劇物取扱責任者(履修プログラムにより取得可能) |
※2019年度、2020年度卒業生の就職データ
※サービス業:受託研究・技術サービス業
主な就職内定先(2019~2021年度)
就職先一覧
高等学校で履修すべき科目 ※1
高等学校で履修することが望ましい科目 ※2
化学・生命科学コースの基礎学力試験は、物理基礎、化学基礎、生物基礎、数学基礎の中から自分の得意な科目で受験することが可能です。自信のある教科のしっかりと復習しておきましょう。皆さんが高校で使っているこれらの科目の教科書は、それぞれの分野の重要な点がコンパクトにまとめられており、その分野の基礎を理解するのにとても役に立つものです。じっくりと読み返して、わからない部分を復習するだけでかなりの力が身に付きます。内容を一通り理解できたら、教科書に載っている例題や章末問題を解いていきましょう。基礎学力試験の難易度はこれらの教科書の問題と同程度ですので、章末問題などが解けるようになれば合格はぐっと近づきます。
自分が大学でどんなことを学びたいのか、そう考えるようになったのはどんなきっかけがあったのか、などをまとめておきましょう。また、自分が学びたいことと社会との関係や、関係しそうな世界での出来事などに注目してみると、視野が広がって良いのではないでしょうか。面接では関連分野の知識がどのぐらい身についているのか、も問われますが、基礎学力試験を解けるように復習していれば問題なく突破できるはずです。
1. 『あなたのなかのDNA―必ずわかる遺伝子の話』 中村桂子 (早川書房) ISBN:9784150501761
DNA、遺伝子について分かりやすく書かれ、生命科学の基礎を知ることができます。
2. 『科学の方法』 中谷宇吉郎 (岩波新書) ISBN:9784004160502
古典的な本ですが、科学的な考え方や人と科学とのかかわりなどを教えてくれる良書です。
3. 『すごい分子 世界は六角形でできている』 佐藤健太郎 (講談社) ISBM:9784065142141
さまざまなところで利用されているベンゼン環を持つ分子、芳香族化合物。それらについてわかりやすく、そして面白く解説している一冊です。有機化学の導入におすすめです。
化学や生命科学は我々の日常生活にも非常に近く、社会とのかかわりも大きい分野です。自分が大学に入ってどのように成長していきたいのか、そして社会の中でどんな活躍をしていきたいのかも考えてみてください。
Q1
化学・生命科学コースの学生の雰囲気を
教えてください。
毎週の学生実験など複数人で作業したりすることも多いため、早い時期から学生同士がざっくばらんに話せる雰囲気になっています。理工系ということで実験レポートなど提出しなくてはいけない課題が多いことも、互いに相談して助け合うような雰囲気に繋がっているのかもしれません。
Q2
明星大学の化学・生命科学コースならではの
学びの特徴を具体的に教えてください。
化学、生命科学、環境科学という広い分野を学ぶことができるのが最大の特徴です。最初にこれらすべての分野の基礎を学んだあとは、自分の興味や進路に合わせて特定の分野を深く極めたり、幅広い領域を学んで進路の幅を広げたりすることが自由にできます。また、複数の分野を横断した新しい領域の研究を行っている研究室もあり、独創的な研究に携わることもできます。2023年度からはさらに理工学部全体での横断的な学びが可能となり、興味に応じてより幅広い分野を自由に学ぶことも可能になっています。
Q3高校の時には化学(または生物)
しか学んでいませんが、大丈夫ですか?
化学、生命科学どちらの分野も、1~2年生の講義で基礎的なところから始めますので大丈夫です。ただもちろん、大学に入ってから全然勉強をしないとついていけなくなりますので、予習・復習はしっかりとするようにしましょう。大学入学前の時期に余裕があれば、それぞれの基礎教科(化学基礎や生物基礎)の教科書をしっかり読んでおくだけでもだいぶ変わります。
Q4どんな進路がありますか?
化学やバイオ、環境関係の仕事にしか
就職できないのですか?
進路は大きく分けて①化学・生命科学・環境科学といった専門知識や技術を活かす職、②理系としての能力を活かす職,③一般的な職種、の3つがあります。専門知識を活かして①の進路に進む人ももちろん多いのですが、②の理系としての募集に応募し機械やプラントなどの設計・製造に取り組む人、話術を活かして③の営業職やサービス業に進む人など、幅広い進路を選ぶことができます。
Q5専門知識を活かした進路としては
どんなものがありますか?
例えば、医薬品会社、ガラスや接着剤などの工業用素材の開発・製造、製造業における品質管理部門、環境調査・水質調査や食品分析などの分野に進む学生は例年数多くいます。また中学・高校の教員も根強い人気です。近年では、さまざまな企業からの依頼で研究開発を請け負う受託研究系のサービス業に就職する学生も増えています。
Q6教員免許の取得について教えてください。
通常の講義にプラスして教職関連の科目を履修することで、中学・高校の理科教員の免許を取ることが可能です。また本学の通信教育と組み合わせる「併修制度」を活用すると、中学・高校に加えて小学校の教員免許の取得も目指せます。
Q7教員免許を取るのは大変ですか?
必要な講義などが増えて負担はやや大きくなるため、「それほど教員には興味はないけど、取れるのなら取っておくか」ぐらいの気持ちだと大変かもしれません。ただ、「教員を目指したい」という意欲のある学生にとっては無理のないカリキュラムを組んでおり、本学系では毎年10~20人程度が教員免許を取得しています。
他の学部・学科や大学の概要などについても
WEBで調べてみよう
学系の特設サイトでさらに詳しくチェックしよう
※生命科学・化学系は2023年度より
化学・生命科学コースに改編されます。
学系の特設サイトでさらに詳しくチェックしよう
※環境科学系のカリキュラムは、
2023年度より各コースに横断的に組み込まれます。